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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻11号

2012年11月発行

文献概要

報告

幻肢痛の経時変化からみたMirror Therapyの効果検証―幻肢痛が近位から改善した下肢切断症例を通して

著者: 元房美穂1 網本和2 渡辺学1 桒原慶太1 西田光宏1

所属機関: 1北里大学北里研究所メディカルセンター病院リハビリテーションセンター 2首都大学東京健康福祉学部

ページ範囲:P.1037 - P.1041

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要旨:切断術後の幻肢痛に対してMirror Therapy(MT)が有効であることは先行研究にて報告されており,幻肢が遠位から中枢に向かって縮小するtelescoping現象が多い.今回,大腿極短断端症例に対してMTを行ったところ幻肢痛の改善が得られたが,先行研究とは異なり,一時的に疼痛が増悪したのちに近位から遠位に向けて消失が進み,足部が残存するという過程をたどった.消失過程の違いには,イメージングのしやすさ,幻肢痛の発現メカニズム,病前の疼痛や身体活動が関与する可能性が考えられた.MTは,いまだ効果やメカニズムの解明がなされておらず,症例により与える影響が変化することから,治療対象や介入方法を慎重に検討していく必要があると考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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