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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻12号

2012年12月発行

文献概要

報告

在宅脳卒中片麻痺者の排泄動作自立者における下衣操作能力の検討

著者: 岩田研二1 岡西哲夫2 山﨑年弘1 倉田昌幸1 河村樹里1 渡邉佐知子1 木村圭佑1 坂本己津恵1 松本隆史1 櫻井宏明2 金田嘉清2

所属機関: 1医療法人松徳会花の丘病院リハビリテーション科 2藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科

ページ範囲:P.1137 - P.1142

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要旨:本研究の目的は,健側上肢でズボンの上げ下げ(以下,下衣操作)が自立している在宅脳卒中片麻痺者の下衣操作能力を,バランス能力,および筋力との関係という側面から分析することである.対象は脳卒中片麻痺者28名で,下肢Brunnstrom stageはⅢ 10名,Ⅳ 12名,Ⅴ 6名であった.検討する評価項目は,下衣操作能力(動作遂行時間,持ち替え回数),バランス能力(静止立位時の総軌跡長,静止立位,下衣操作時の健側・患側荷重率),筋力(健側膝伸展筋力,握力)とした.結果は,バランス能力では,静止立位,下衣操作時ともに,麻痺が重度なほど荷重率は健側下肢優位であり,統計学的にもstage ⅢとⅣ,Ⅴでは有意差が認められた.また,患側機能(10秒間最大荷重率)と下衣操作能力に相関を認めなかったことからも,患側への荷重能力の向上が必ずしも下衣操作能力の向上にはつながらないことが示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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