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特集 慢性疼痛への包括的アプローチ
慢性疼痛への理学療法―がん症例
著者: 増田芳之1
所属機関: 1静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科
ページ範囲:P.131 - P.136
文献購入ページに移動昨今では,がん治療の発展に伴い5年生存率も向上してきている.それに伴い,がんに対する理学療法も多彩な対応が必要となり,すべての治療過程(予防・回復・維持・緩和期)において一人ひとりの抱える多様な運動障害,疼痛,体力低下,生活の質(QOL)に関わる対応も求められている.また,障害受容のプロセスや死への過程に関わること,予期不安などに対する心理面のアプローチも求められている1).
がん性疼痛はどの病期にも発生するが,発生頻度としては,がんと診断を受けたときに30%,病状進行時に60~70%が,末期のがん患者の約70~75%が主症状として痛みを体験するとされる.すなわち,がんが進行するほど強くなる傾向がある.持続性の痛みが大半を占め,その痛みの50%はかなり強く,30%は耐え難い痛みであり,80%の患者は複数の痛みを抱えているとされる.今回はこれらのがん性疼痛に対して,理学療法士が臨床において必要とされる役割と対応について述べたい.
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