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臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・11
脊髄損傷
著者: 安田孝司1
所属機関: 1兵庫県立総合リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.167 - P.173
文献購入ページに移動脊髄損傷による障害像は四肢麻痺や対麻痺を呈する完全麻痺や不全麻痺まで多様である.麻痺の程度を示す尺度としてASIA機能障害尺度やFrankel分類(表1,2)を用いることが多いが,この表を参照するだけでも様々な障害があり,「脊髄損傷」という診断名だけでは同一の障害像をイメージすることができないため,本稿では頸髄損傷完全麻痺を想定して説明していきたい.
脊髄損傷者の症状はmyotome(筋分節)やdermatome(皮膚分節)をはじめ,解剖学,生理学,運動学との結びつきが強く,知識の整理が行いやすい.また,動作は残存機能に左右され,損傷レベルにより獲得目標が異なる.特に脊髄損傷者の中でも頸髄損傷者を担当したことがない理学療法士や学生は起き上がりやプッシュアップ動作などの完成形をイメージできず,評価が困難となりやすい.これらの動作は上肢に荷重する必要性があり,頸髄損傷者は受傷前にあまり経験したことがない.そのため,理学療法士は頸髄損傷者に対して残存機能の向上や動作方法を指導することが必要である.また,日常生活活動(ADL)拡大へ導くため,作業療法士や看護師と連携することも重要となる.
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