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理学療法臨床のコツ・25
脳性麻痺児に対する理学療法のコツ―姿勢指導のコツ
著者: 岸本眞1
所属機関: 1堺市立重症心身障害者(児)支援センター準備室
ページ範囲:P.242 - P.244
文献購入ページに移動「コツ」は本来指導不可能なもの
技能伝達の場でしばしば用いられる,教える側の「コツ」や教えられる側の「カン」については,脳性麻痺児に対する理学療法技術の伝達はもとより,学校教育における鉄棒で逆上がりのできない児童への体育指導や,優美なダンスなどの芸術領域から,0.1秒の優劣を競うトップ・アスリートの運動パフォーマンスのコツを指導するためのコーチングに至るまで,広く運動指導領域に共通した普遍的概念であると考える.しかしコツを伝えるためには,動作のためらいや躓きといった,あくまで個人の内的世界に生まれる主観的な運動感覚であるキネステーゼ(動感)は,自然科学に基づいた運動分析によらない間主観的(intersubjectivity)分析であるために,客観性に乏しいと指摘される.しかし近年になって,「私の動きやすさ/づらさ」という,数値化できない運動の意味論的な現象学的分析と指導方法論が議論され始めてきている.
技能伝達の場でしばしば用いられる,教える側の「コツ」や教えられる側の「カン」については,脳性麻痺児に対する理学療法技術の伝達はもとより,学校教育における鉄棒で逆上がりのできない児童への体育指導や,優美なダンスなどの芸術領域から,0.1秒の優劣を競うトップ・アスリートの運動パフォーマンスのコツを指導するためのコーチングに至るまで,広く運動指導領域に共通した普遍的概念であると考える.しかしコツを伝えるためには,動作のためらいや躓きといった,あくまで個人の内的世界に生まれる主観的な運動感覚であるキネステーゼ(動感)は,自然科学に基づいた運動分析によらない間主観的(intersubjectivity)分析であるために,客観性に乏しいと指摘される.しかし近年になって,「私の動きやすさ/づらさ」という,数値化できない運動の意味論的な現象学的分析と指導方法論が議論され始めてきている.
参考文献
1)Bernstein NA,工藤和俊,他(訳):デクステリティ 巧みさとその発達,金子書房,2004
2)Goldfield EC:Transition from rocking to crawling:postural constraints on infant movement. Dev Psychol 25:913-919, 1989
3)Reed ES:Applying the theory of action system to the study of motor skills. Meijer OG, et al(eds):Complex movement behaviour:The motor-action controversy, pp45-86, Elsevier Science Publishers B. V.(North-holland), 1988
4)Uexküll JV,et al,日高敏隆,他(訳):生物から見た世界,新思索社,2005
5)Weizsäcker VV,木村 敏(訳):ゲシュタルトクライス 知覚と運動の人間学,みすず書房,2004
6)金子明友:わざの伝承,明和出版,2002
7)岸本 眞:障がい児への運動指導に果たす動感発生の意義について―運動メロディの促発を中心に.伝承 10:49-62,2011
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9)長崎 浩:動作の意味論,雲母書房,2004
10)宮本謙三,他:運動学習過程における主観的運動理解の変容.理学療法学 29:105-112,2002
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