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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻5号

2012年05月発行

文献概要

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

骨量測定法

著者: 玉利光太郎1

所属機関: 1吉備国際大学保健医療福祉学部理学療法学科

ページ範囲:P.437 - P.437

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●骨量とは

 骨量,または骨塩量は,骨に含まれるミネラル量を指し,その構成成分は主にカルシウムとリンである.骨密度は単位面積(装置によっては体積)当たりの骨量と定義されるため,骨密度は骨量に依存する.骨は皮質骨と海綿骨からなり,海綿骨は皮質骨に対して骨代謝が盛んである.しかし閉経や加齢により骨代謝が沈滞化すると骨量低下が進みやすいため,骨粗鬆症の診断の際は海綿骨での測定が有用である.例えば,踵骨や腰椎,または大腿骨頸部などの荷重を受ける骨は海綿骨の含有量が多く,橈骨や中手骨などの荷重を受けにくい長管骨骨幹部などは皮質骨の含有量が多い.

 一般的には,骨密度が高ければ骨硬度も高く,骨密度が低下すると骨折につながりやすいことから,骨密度≒骨強度とされる.しかし,骨代謝の観点から言うと,骨密度=骨強度ではない.骨は新生と破壊を常に繰り返し,新生骨の密度が高ければ強く柔軟な骨が作られるため,骨折しにくい.一方,ビスホスホネート系薬剤により破骨細胞の活動を抑制された骨粗鬆症患者では,古い骨の蓄積による骨量の増加が生じるための結果として骨密度が高くなるが,これは前者と比べて柔軟で強い骨とは言えない.したがって,骨量や骨密度は,その時点の骨強度を測る量的指標と捉えることができる一方,骨代謝マーカーはその後の骨強度をも予測しうる質的指標と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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