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特集 脳卒中理学療法のクリニカルリーズニング
脳卒中理学療法のクリニカルリーズニング―その特徴と共通性
著者: 佐藤房郎1
所属機関: 1東北大学病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.477 - P.485
文献購入ページに移動脳卒中に対する理学療法の原則
脳損傷により現れる障害は,随意運動の制限や感覚障害,行為を保障する自動的な姿勢制御の障害,高次脳機能障害に大別される.さらに,回復の過程で変化するものとして筋緊張,筋力,関節可動域,疼痛,抑うつなどの精神状態が挙げられる.これらに退行性の変形や内部障害などの併存症が加わり,病態を複雑化している.
とりわけ自動的な姿勢制御は,移動能力や日常生活動作(activities of daily living:ADL)向上のカギを握っている.これは,筋緊張とシナジーが背景となる運動連鎖(運動パターン)として捉えられる.代償的で固定的な姿勢制御が獲得されると,すべての行為が非経済的活動に陥り,筋萎縮や拘縮などの二次的な機能障害を招く.脳の可塑性も望ましくない方向に進展する恐れがあり,可能な限り低緊張に陥った筋群を活性化させて安定性を向上することが重要になっている.
脳損傷により現れる障害は,随意運動の制限や感覚障害,行為を保障する自動的な姿勢制御の障害,高次脳機能障害に大別される.さらに,回復の過程で変化するものとして筋緊張,筋力,関節可動域,疼痛,抑うつなどの精神状態が挙げられる.これらに退行性の変形や内部障害などの併存症が加わり,病態を複雑化している.
とりわけ自動的な姿勢制御は,移動能力や日常生活動作(activities of daily living:ADL)向上のカギを握っている.これは,筋緊張とシナジーが背景となる運動連鎖(運動パターン)として捉えられる.代償的で固定的な姿勢制御が獲得されると,すべての行為が非経済的活動に陥り,筋萎縮や拘縮などの二次的な機能障害を招く.脳の可塑性も望ましくない方向に進展する恐れがあり,可能な限り低緊張に陥った筋群を活性化させて安定性を向上することが重要になっている.
参考文献
1)篠原幸人,他(編):脳卒中治療ガイドライン2009,pp296-299,協和企画,2009
2)P. M. デービス,冨田昌夫(監訳):Right in the Middle―成人片麻痺の選択的な体幹活動,シュプリンガー・フェアラーク東京,1991
3)福島真人:暗黙知の解剖,pp43-50,金子書房,2008
4)福岡伸一:生物と無生物のあいだ,pp117-120,講談社現代新書,2008
5)佐藤房郎:体幹に対するボールセラピー.理学療法 23:1515-1523,2006
6)佐藤房郎:中枢神経疾患の理学療法とコアスタビリティトレーニング.理学療法 26:1219-1227,2009
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