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特集 脳卒中理学療法のクリニカルリーズニング
急性期脳卒中理学療法のクリニカルリーズニング
著者: 岡田有司1 永冨史子1
所属機関: 1川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.495 - P.501
文献購入ページに移動クリニカルリーズニング(clinical reasoning)とは,対象者の訴えや症状から病態を推測し,仮説に基づき適切な検査法を選択し,最も適した介入を決定していく一連の心理的過程のことである1).理学療法では,医学的情報を整理した後に評価を行い,病態解釈に基づいた治療となるよう意図し介入する.治療中に感知した患者の反応も情報に加え再考察し,適切な治療となるよう修正を繰り返す.
脳卒中患者の急性期病態は,日々変化する可能性をもち,医師の治療方針や医学的処置もそれに伴い変更される.また近年の脳卒中治療では,遺伝子組換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)静注療法2)や血管内治療2)などが一般的に行われるようになっている.さらに,「脳卒中治療ガイドライン2009」では,Stroke Care Unit(以下,SCU)・Stroke Unit(以下,SU)による発症早期からの集中的チーム医療とリハビリテーション(以下,リハ)開始が推奨されるなど3),脳卒中の治療環境とその内容は変化しており,理学療法士は急性期医療のチームメンバーとして,専門的かつ迅速な対応を期待されている.
一方,理学療法士はリハ専門スタッフの視点から,早期介入だけでなく将来も念頭に入れる必要がある.すなわち脳卒中急性期患者の“現在”に他職種と連携しながら対応し,同時に“将来”の状況を予測する,多次元の対応が求められる.本稿では,脳卒中急性期を発症後日数で定めず「情報収集―リスク管理と介入開始―離床」と便宜上定義し,脳卒中急性期治療において,理学療法士がどのようにクリニカルリーズニングを生かしてゆくのかを考察する.
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