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特集 脳卒中理学療法のクリニカルリーズニング
回復期脳卒中理学療法のクリニカルリーズニング―装具の活用と運動療法
著者: 増田知子1
所属機関: 1千里リハビリテーション病院
ページ範囲:P.502 - P.510
文献購入ページに移動はじめに
「脳卒中治療ガイドライン2009」において,装具を用いた早期からの立位歩行訓練が推奨グレードAと認定された1)ことにより,脳卒中患者に対する装具療法はエビデンスに基づくものと認識されつつある.しかし実際には,装具装着下の立位・歩行トレーニングに関して検証した報告はわずかで,その方法論が確立されているとは言い難い.
加えて,脳卒中患者が治療の段階で用いる装具は,免荷装具や矯正用装具のように装着すること自体が治療的意義を持つものではなく,セラピストが行う運動療法と併せて初めてその機能が発揮される.すなわち患者が使用するものでありながら,セラピストが運動療法を行うための道具という意味合いが非常に強い.そのため,脳卒中患者に対する装具療法を考える際には,装具自体の機能特性のみならず,実際の操作も含め,セラピストが立案する治療方略が科学的根拠に基づいていなければならない.
「脳卒中治療ガイドライン2009」において,装具を用いた早期からの立位歩行訓練が推奨グレードAと認定された1)ことにより,脳卒中患者に対する装具療法はエビデンスに基づくものと認識されつつある.しかし実際には,装具装着下の立位・歩行トレーニングに関して検証した報告はわずかで,その方法論が確立されているとは言い難い.
加えて,脳卒中患者が治療の段階で用いる装具は,免荷装具や矯正用装具のように装着すること自体が治療的意義を持つものではなく,セラピストが行う運動療法と併せて初めてその機能が発揮される.すなわち患者が使用するものでありながら,セラピストが運動療法を行うための道具という意味合いが非常に強い.そのため,脳卒中患者に対する装具療法を考える際には,装具自体の機能特性のみならず,実際の操作も含め,セラピストが立案する治療方略が科学的根拠に基づいていなければならない.
参考文献
1)篠原幸人,他(編):脳卒中治療ガイドライン2009,協和企画,2009
2)山本澄子,他:ボディダイナミクス入門―片麻痺者の歩行と短下肢装具,pp64-79,医歯薬出版,2005
3)土屋和雄,他(編著):シリーズ移動知 第2巻 身体適応―歩行運動の神経機構とシステムモデル,pp44-51,オーム社,2010
4)三原雅史,他:歩行機能の回復と大脳皮質運動関連領野の役割.PTジャーナル 39:215-222,2005
5)宮井一郎:脳卒中リハビリテーション治療の最前線脳卒中患者の歩行障害への対応.リハ医学 43:33-39,2006
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1)大畑光司:脳卒中片麻痺患者の装具と運動療法―Gait Solution付短下肢装具による脳卒中片麻痺の運動療法とその効果.PTジャーナル 45:217-224,2011
2)櫻井愛子,他:装具の底屈制動モーメントが片麻痺者の歩行に及ぼす影響.日本義肢装具学会誌 22:215-224,2006
3)櫻井愛子,他:装具の底屈制動モーメントによる片麻痺者の歩行の改善点.日本義肢装具学会誌 23:147-158,2007
4)Davis PC, et al:The effect of stance control orthoses on gait characteristics and energy expenditure in knee-ankle-foot orthosis users. Prosthet Orthot Int 34:206-215, 2010
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6)Suzuki M, et al:Prefrontal and premotor cortices are involved in adapting walking and running speed on the treadmill:an optical imaging study. Neuroimage 23:1020-1026, 2004
掲載誌情報