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文献概要
講座 運動学・3
足関節の機能解剖と臨床応用
著者: 壇順司1
所属機関: 1九州中央リハビリテーション学院理学療法学科
ページ範囲:P.533 - P.540
文献購入ページに移動はじめに
理学療法における障害構造の捉え方は,罹患関節の局所的視点のみでは不十分であり,姿勢や動作などの全身的視点からも捉える必要がある.この視点で重要となるのが多関節運動連鎖の概念である.これは治療戦略を考える上で欠かすことのできない概念である.しかし,多関節運動連鎖は,足からの運動連鎖,骨盤からの運動連鎖,各関節を構成する骨の相対的位置関係など様々な表現方法が用いられているため,理解するのが難しい.特に下腿の動きに対する足部の動きが,どのような機構で制御されているか明確でないため,障害構造を捉える時に混乱を起こすことがある.そこで,荷重下における足関節の動きとそれに関与する軟部組織を整理し,足関節に対する相対的な骨の位置と運動連鎖の関係を解剖学的に検証することで,臨床に応用できるのではないかと考えた.
足関節の運動は,背屈には外返しが,底屈には内返しを含む複合的な関節運動1)を行うことから,距腿関節と距骨下関節(Subtalar関節:以下,ST関節)を足関節複合体として捉える必要がある.通常足関節複合体としての底背屈の可動域は,距腿関節が80%,ST関節が20%といわれている2).
また,距腿関節は,底屈約30°から背屈方向の運動では,距骨体が脛腓骨間にロックされる3)ため,矢状面上での1軸性の運動となる.よって,歩行などの荷重下での運動は,距腿関節とST関節が連動しながら,安定した運動を行っている.しかし,距腿関節に比べ,ST関節の関節構造や動きは複雑で理解することが難しいため,本稿では足関節複合体の中でも機能的に重要なST関節の動きを中心に紹介する.
理学療法における障害構造の捉え方は,罹患関節の局所的視点のみでは不十分であり,姿勢や動作などの全身的視点からも捉える必要がある.この視点で重要となるのが多関節運動連鎖の概念である.これは治療戦略を考える上で欠かすことのできない概念である.しかし,多関節運動連鎖は,足からの運動連鎖,骨盤からの運動連鎖,各関節を構成する骨の相対的位置関係など様々な表現方法が用いられているため,理解するのが難しい.特に下腿の動きに対する足部の動きが,どのような機構で制御されているか明確でないため,障害構造を捉える時に混乱を起こすことがある.そこで,荷重下における足関節の動きとそれに関与する軟部組織を整理し,足関節に対する相対的な骨の位置と運動連鎖の関係を解剖学的に検証することで,臨床に応用できるのではないかと考えた.
足関節の運動は,背屈には外返しが,底屈には内返しを含む複合的な関節運動1)を行うことから,距腿関節と距骨下関節(Subtalar関節:以下,ST関節)を足関節複合体として捉える必要がある.通常足関節複合体としての底背屈の可動域は,距腿関節が80%,ST関節が20%といわれている2).
また,距腿関節は,底屈約30°から背屈方向の運動では,距骨体が脛腓骨間にロックされる3)ため,矢状面上での1軸性の運動となる.よって,歩行などの荷重下での運動は,距腿関節とST関節が連動しながら,安定した運動を行っている.しかし,距腿関節に比べ,ST関節の関節構造や動きは複雑で理解することが難しいため,本稿では足関節複合体の中でも機能的に重要なST関節の動きを中心に紹介する.
参考文献
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2)Donald A. Neumann,嶋田智明,他(監訳):筋骨格系のキネシオロジー,pp511-516,医歯薬出版,2005
3)壇 順司,他:足関節の運動学(1).理学療法 24:1235-1240,2007
4)Michael Schunke, et al,坂井建雄,他(監訳):プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系,第2版,p453,医学書院,2011
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