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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻7号

2012年07月発行

文献概要

報告

座位リーチ距離の見積もりに対する加齢の影響

著者: 平井達也1 千鳥司浩2 渡邊紀子1 白木春菜1 下野俊哉3

所属機関: 1医療法人田中会西尾病院リハビリテーション科 2中部学院大学リハビリテーション学部 3星城大学リハビリテーション学部

ページ範囲:P.659 - P.663

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要旨:本研究の目的は,座位における上肢最大到達(以下,リーチ)距離の見積もりに対する加齢の影響を明らかにすることである.健常若年成人30名(若年群:23.2±3.8歳)と健常高齢者27名(高齢群:69.0±7.7歳)を対象に,座位でリハビリテーション用ベッドに対するリーチ距離の見積もり(見積もり値)と実際のリーチ距離の測定(実測値)を行い,見積もり値から実測値を減じた誤差(誤差)と誤差の絶対値(絶対誤差)を年齢により比較した.結果,誤差は群間に有意差はなく,絶対誤差には有意差があった(p<0.05).実測値より見積もり値が大きかった者が若年群で80%,高齢群で78%であったことから見積もり値のほうが小さかった者を除外し検討したところ,誤差,絶対誤差とも高齢群のほうが有意に高値であった(p<0.05).本研究結果から高齢者の座位によるリーチ距離の見積もりは若年者より不正確となることが示された.

参考文献

1)Carello C, et al:Visually perceiving what is reachable. Ecol Psycho 1:27-54, 1989
2)杉原敏道,他:高齢者の身体能力認識と転倒について.理学療法科学 20:13-16,2005
3)岡田洋平,他:地域高齢者におけるリーチ距離の見積り誤差と転倒との関係.理学療法学 35:279-284,2008
4)寺垣康裕,他:脳血管障害患者における座位前方リーチテストの臨床的有用性の検討.理学療法科学 23:151-155,2008
5)正高信男:老いはこうしてつくられる―こころとからだの加齢変化,pp8-39,中公新書,2000
6)Coello Y, et al:Perceiving what is reachable depends on motor representations:evidence from a transcranial magnetic stimulation study. PLoS One 3:e2862, 2008
7)松井典子,他:わが国における施設高齢者の転倒事故に関する文献的検討―認知症高齢者の転倒事故防止対策構築への考察.老年精神医学雑誌 17:65-74,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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