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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻8号

2012年08月発行

文献概要

特集 外来理学療法

神経難病患者に対する外来理学療法

著者: 金城三和子1 松川英一1 仲本哲1 小橋川敦1 川平稔1

所属機関: 1かなの会コザクリニック

ページ範囲:P.695 - P.700

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はじめに

 いわゆる「難病」とは,疾病を定義したものではなく,行政や医療の現場で難治性疾患を指すものである.1972年に出された「難病対策要網」によると,①原因不明,治療方法未確立であり,かつ,後遺症を残すおそれが少なくない疾病,②経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く,また精神的にも負担の大きい疾病,と定義されている.

 なかでも脳や脊髄を中心とした神経細胞が変性・脱落した結果生じる病気の総称である神経難病は,近年難病中に占める割合が増加傾向にある.発症原因が不明であり徐々に進行していくこと,疾病の種類,年齢により症状が多様であることなどから治療方法が未確立の疾患が多く,理学療法もまた未確立であると言わざるを得ない.また脳卒中や整形外科的疾患などと比較して症例も少なく,神経難病の診療に携わる医療機関が少ないため,理学療法の経験が乏しいのも現状である.

 そのようななか,当院は2000年に外来リハビリテーション科を開設し,翌年から難病リハビリテーションを開始,パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)をはじめとする神経難病患者に対して試行錯誤しながら外来リハビリテーションを実施してきた.当初は歩行介助レベルの違いによるリハビリテーションマニュアルを独自に作成し,治療を行っていた.しかし症例経験を積むに従い,マニュアルへの追加項目が増えてより細分化され,PDに関してはHoehn & Yahr分類によるリハビリテーションマニュアルが出来上がった.

 本稿では,神経難病に対する外来理学療法の意義や役割,理学療法を実施する上での要点について,当院における経験を踏まえて報告する.

参考文献

1)難病対策要綱 http://www.nanbyou.or.jp/pdf/nan_youkou.pdf
2)沖縄県福祉保健部薬務疾病対策課:特定疾患医療受給者証交付状況(2010年度)資料
3)「パーキンソン病治療ガイドライン」作成委員会(編):パーキンソン病治療ガイドライン2011,pp139-140,医学書院,2011
4)厚生労働省:自宅で転ばないために―神経疾患患者さんと介護者のための転倒防止マニュアル,2006 http://www.nanbyou.or.jp/pdf/psp2009_2.pdf
5)大森圭貢:スーパーバイザーの視点・論点 患者さんに触れるまで―パーキンソン病.PTジャーナル 45:889-896,2011
6)佐藤房郎,他:こんな時どうする―パーキンソン病の主要症状に対する理学療法.PTジャーナル 43:501-524,2009
7)日本神経学会「パーキンソン病治療ガイドライン」作成小委員会(編):パーキンソン病治療ガイドライン,pp281-288,医学書院,2003
8)曽根政富:パーキンソン病および類似疾患患者の姿勢調節と歩行のための運動療法.理学療法 12:353-360,1995
9)高橋光彦,他:パーキンソン病患者の呼吸のための理学療法.理学療法 12:367-371,1995
10)長澤 弘:パーキンソン病の理学療法最前線,PTジャーナル 43:493-500,2009
11)中馬孝容:「パーキンソン病治療ガイドライン」からみたリハビリテーションの最前線.PTジャーナル 43:485-492,2009
12)半田健壽:パーキンソン病および類似疾患の理学療法総論.理学療法 12:343-351,1995
13)福地義之助:呼吸リハビリテーションマニュアル―患者教育の考え方と実践,照林社,2007
14)福地義之助:呼吸リハビリテーションマニュアル―運動療法,照林社,2003
15)増本正太郎:図解 理学療法技術ガイド,pp662-667,文光堂,1997
16)奈良勲(監):パーキンソン病の理学療法,医歯薬出版,2011
17)水野美邦:パーキンソン病治療の理学療法最前線.PTジャーナル 43:477-484,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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