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特集 外来理学療法
神経難病患者に対する外来理学療法
著者: 金城三和子1 松川英一1 仲本哲1 小橋川敦1 川平稔1
所属機関: 1かなの会コザクリニック
ページ範囲:P.695 - P.700
文献購入ページに移動いわゆる「難病」とは,疾病を定義したものではなく,行政や医療の現場で難治性疾患を指すものである.1972年に出された「難病対策要網」によると,①原因不明,治療方法未確立であり,かつ,後遺症を残すおそれが少なくない疾病,②経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く,また精神的にも負担の大きい疾病,と定義されている.
なかでも脳や脊髄を中心とした神経細胞が変性・脱落した結果生じる病気の総称である神経難病は,近年難病中に占める割合が増加傾向にある.発症原因が不明であり徐々に進行していくこと,疾病の種類,年齢により症状が多様であることなどから治療方法が未確立の疾患が多く,理学療法もまた未確立であると言わざるを得ない.また脳卒中や整形外科的疾患などと比較して症例も少なく,神経難病の診療に携わる医療機関が少ないため,理学療法の経験が乏しいのも現状である.
そのようななか,当院は2000年に外来リハビリテーション科を開設し,翌年から難病リハビリテーションを開始,パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)をはじめとする神経難病患者に対して試行錯誤しながら外来リハビリテーションを実施してきた.当初は歩行介助レベルの違いによるリハビリテーションマニュアルを独自に作成し,治療を行っていた.しかし症例経験を積むに従い,マニュアルへの追加項目が増えてより細分化され,PDに関してはHoehn & Yahr分類によるリハビリテーションマニュアルが出来上がった.
本稿では,神経難病に対する外来理学療法の意義や役割,理学療法を実施する上での要点について,当院における経験を踏まえて報告する.
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