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特集 外来理学療法
心大血管疾患患者に対する外来理学療法
著者: 櫻井繁樹1
所属機関: 1医療法人千心会 櫻井医院
ページ範囲:P.701 - P.707
文献購入ページに移動2010年人口動態統計によると,循環器疾患は,がんに次いで日本人の疾患別死因の第2位を占めており,そのうち心筋梗塞は約23%に上る.心筋梗塞は働き盛りの中年以上で多く,何の前触れもなく突然に発症する.その急性期死亡率は高く,30%とも50%とも言われ,大多数は,高度救急医療が施される前のプレホスピタル死亡である.
救命のためには心肺停止発症時に目撃者がただちに救命処置を行う必要があるが,実際には目撃者が存在する確率は30%程度にとどまる1).したがって,AED(automated external defibrillator)や救急救命医療などプレホスピタルケアの拡充だけでは死亡率を改善させることに限界があり,発症そのものを予防していく取り組みが不可欠である.
発症予防のために介入すべきハイリスクグループの同定には,莫大な資金・人材・高度医療機器を投入するまでもない.すでに医療者の目の前にいる冠動脈疾患を発症した者こそがハイリスクグループの中のハイリスク患者である.これらの患者に対する再発予防治療を確実に実施することが,最初の一歩として,すぐにでも取り組むことのできる対策である.幸いにも心筋梗塞の再発を予防し,QOL(quality of life)を向上させ,予後を改善するための治療法はすでに多く知られている2).それらの治療法を的確に確実に安全に行うための枠組みを心臓リハビリテーション(以下,心リハ)と呼ぶ.
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