文献詳細
文献概要
とびら
重力とあそぶ
著者: 辻清張1
所属機関: 1福井県こども療育センター
ページ範囲:P.1 - P.1
文献購入ページに移動1970年代,脳性麻痺は治るか? といった議論が世界的に巻き起こっている一方で,新生児科領域では肺サーファクタント補充療法が確立し,低出生体重児の救命率が飛躍的に向上し始めたことを,私も含め当時の理学療法士は認識していなかったように思う.1985年からNICU(新生児特定集中治療室)とかかわりをもち,その後20年で1,000例を超える赤ちゃんと出会ったが,エビデンスを問われると頭を抱えてしまう.パラメータが多すぎるゆえに,早期理学療法の効果を声高らかに語るには無理がある.今も昔も赤ちゃんとその家族の笑顔に癒されるのみで,医療側から何が提供できたかはなはだ自信がない.自信がないどころか赤ちゃんからは学ぶことばかりだ.運動発達は,無重力の世界から重力にさらされた環境下に放り出されたときから始まる.要は重力とどう付き合うかである.
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