文献詳細
文献概要
特集 脳のシステム障害と理学療法
―エディトリアル―「脳のシステム障害と理学療法」の企画にあたって
著者: 吉尾雅春1
所属機関: 1千里リハビリテーション病院
ページ範囲:P.5 - P.6
文献購入ページに移動 大脳は外界の情報を受け止める後頭葉,側頭葉,頭頂葉と,その情報などを基に外界に働きかけようとする前頭葉で構成されている.それらの情報のやりとりは,同側半球内では上縦束や下縦束,鉤状束などの長連合線維や近隣の回を結ぶ短連合線維を介してなされ,さらに左右半球間では脳梁に代表される交連線維で協調的な交換がなされている.
それぞれの皮質がもつ機能は皮質損傷によってそれ相応の障害が生じるが,連合線維や交連線維の損傷によっても大脳は機能障害を来す.例えば,典型的な左半側空間無視を生じる領野である右下頭頂小葉には何ら問題がなくても,右前頭葉皮質下で上縦束の損傷があれば左半側空間無視を観察することができる.左半側空間無視という現象は同じかもしれないが,その両者の間で発生状況もかかわり方も,将来的な可能性も異なっていても何ら不思議ではない.
それぞれの皮質がもつ機能は皮質損傷によってそれ相応の障害が生じるが,連合線維や交連線維の損傷によっても大脳は機能障害を来す.例えば,典型的な左半側空間無視を生じる領野である右下頭頂小葉には何ら問題がなくても,右前頭葉皮質下で上縦束の損傷があれば左半側空間無視を観察することができる.左半側空間無視という現象は同じかもしれないが,その両者の間で発生状況もかかわり方も,将来的な可能性も異なっていても何ら不思議ではない.
掲載誌情報