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あんてな
放射線の人体への影響
著者: 齋藤勉1
所属機関: 1日本大学医学部附属板橋病院放射線科
ページ範囲:P.49 - P.53
文献購入ページに移動はじめに
2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の発生以来,放射能に対する恐怖が東日本を中心に渦巻いている.これには事故による深刻な放射能汚染とともに,政府の対応や報道も大きく関与している.地震と津波で2万人近い犠牲者が出ているのに,放射能だけがきわめて危険なもののような取り扱いである.
医療は医師の管理のもとに国家資格取得者により行われるため,使用限度(許容量)の範囲内でも身体的な影響が出ることがしばしばある.しかし,放射線の線量限度,特に公衆の被曝限度は人体に影響が出る領域からはるかに少ない線量で制限されている.
食品などで消費期限と実際の食するには適さない状態との間に乖離があるように,被曝の影響(100ミリシーベルト以上)と一般人に対する安全基準(1ミリシーベルト未満)の間には大きなギャップがある(表1).これを知っていないと混乱してしまう.
2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の発生以来,放射能に対する恐怖が東日本を中心に渦巻いている.これには事故による深刻な放射能汚染とともに,政府の対応や報道も大きく関与している.地震と津波で2万人近い犠牲者が出ているのに,放射能だけがきわめて危険なもののような取り扱いである.
医療は医師の管理のもとに国家資格取得者により行われるため,使用限度(許容量)の範囲内でも身体的な影響が出ることがしばしばある.しかし,放射線の線量限度,特に公衆の被曝限度は人体に影響が出る領域からはるかに少ない線量で制限されている.
食品などで消費期限と実際の食するには適さない状態との間に乖離があるように,被曝の影響(100ミリシーベルト以上)と一般人に対する安全基準(1ミリシーベルト未満)の間には大きなギャップがある(表1).これを知っていないと混乱してしまう.
参考文献
1)ICRP Publication 96:放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護,p26,日本アイソトープ協会,2011
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