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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻10号

2013年10月発行

文献概要

報告

足趾把持力漸増に伴う足関節周囲筋の筋活動の変化

著者: 佐藤洋介1 村田伸2 甲斐義浩2 相馬正之1 中江秀幸1

所属機関: 1東北福祉大学健康科学部リハビリテーション学科 2京都橘大学健康科学部

ページ範囲:P.939 - P.943

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要旨:[目的]本研究では,足趾把持力の発揮筋力を漸増した際の足関節周囲筋の筋活動の特徴を明らかにし,足趾把持力に果たす足関節周囲筋の役割を検討した.[対象と方法]健常成人女性20名を対象とした.平均年齢は21.5±1.0歳である.被験筋は利き足の前脛骨筋とヒラメ筋,腓腹筋内側頭とし,各被験筋の最大随意等尺性収縮を算出した.最大足趾把持力に対し,10%から100%まで随意的に足趾把持力を漸増させた際の各被験筋の筋活動を測定し,比較・検討した.[結果]前脛骨筋とヒラメ筋の積分筋電図(integrated electronmyogram:IEMG)は,最大足趾把持力の30%発揮時で有意な増加が認められ,腓腹筋内側頭のIEMGは,最大足趾把持力の40%発揮時から有意な増加が認められた.[結語]足趾把持動作では,足関節周囲筋が同時収縮して足関節安定化に寄与することが示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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