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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻12号

2013年12月発行

文献概要

特集 神経筋疾患の治療と理学療法

ギラン・バレー症候群に対する治療と理学療法

著者: 江藤江利香1 梅野裕昭1 佐藤浩二1

所属機関: 1湯布院厚生年金病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.1053 - P.1059

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はじめに

 ギラン・バレー症候群(Guillan-Barré syndrome:GBS)は,急性発症のポリニューロパチーのなかで最も頻度の高い疾患であり,日本での発症率は人口10万人あたり年間1~2人である.通常,先行感染から始まり1~3週間後に四肢筋力低下が進行し4週間以内にピークに達するが,その後自然回復することから比較的予後は良好とされている.しかし,近年では回復遅延例についての報告も散見されるようになり,またactivities of daily living(ADL)が自立に至っても社会復帰には課題を残す症例が多いことが知られるようになった.

 本稿では,GBSの理学療法を行ううえで理解すべき疾患の特性や,現在確立されている治療法や予後について整理し,病期に応じた理学療法施行時の留意点について述べる.合わせて,GBSと同様に自己免疫疾患として知られている慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー(chronic inflammatory demyelinat-ingpolyneuropathy:CIPD)についても疾患の概要および治療法を概説する.

参考文献

1)日本神経治療学会,日本神経免疫学会:ギラン・バレー症候群(GBS)/慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)治療ガイドライン,2004
2)永島隆秀,他:Guillain-Barre症候群の転帰―運動機能評価尺度と生活の変化との対比.臨床神経44:50-53,2004
3)上原江利香,他:ギランバレー症候群患者のADLの経過と転帰―過去8年間の実績を通して.理学療法学39(Suppl. 2):1427,2012
4)岡本隆嗣,他:長期間の入院リハビリテーションを必要としたギランバレー症候群の1例.臨床リハ13:92-96,2004
5)大畠純一:回復期における運動療法施行例.理学療法14:876-881,1997
6)尾花正義,他:Guillain-Barre症候群(GBS)患者の臨床特徴と予後―「早期回復患者」と「回復遅延患者」との比較.リハ医学31:555-558,1994
7)川手信行,他:ギラン・バレー症候群―慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーの治療とリハビリテーション.臨床リハ14:620-627,2005
8)北郷仁彦,他:ロボットスーツHAL使用前後で動作能力に変化があった一症例.リハビリテーション・ケア合同研究大会,241,2011
9)小林慶子,他:長期にわたるリハビリテーションにより著明にADLが改善した重症ギラン・バレー症候群の経験.臨床リハ15:873-877,2006
10)浜田哲郎,他:ギランバレー症候群の急性期理学療法.PTジャーナル31:568-573,1997
11)Van Koningsveld R, et al:A clinical prognostic scoring system for Guillain-Barré syndrome. Lancet Neurol 6:589-594, 2007
12)増本正太郎:ニューロパチー及びギラン・バラー症候群の理学療法のための検査・測定のポイントとその実際.理学療法21:46-50,2004
13)間瀬教史,他:急性期の呼吸管理を必要とした例.理学療法14:870-875,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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