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書評
―ダグ・ヴォイチェサック,ジェームズ・W・サクストン,マギー・M・フィンケルスティーン(著)/前田正一(監訳)/児玉 聡,高島響子(翻訳)―「ソーリー・ワークス!―医療紛争をなくすための共感の表明・情報開示・謝罪プログラム」 フリーアクセス
著者: 田中まゆみ1
所属機関: 1北野病院総合内科
ページ範囲:P.174 - P.174
文献購入ページに移動医療訴訟では被害者も加害者も救われない,というのなら,それに代わる医療事故の良い解決方法はないのだろうか.本書は,医療者がすぐにも実行できるいくつかの重要な提案をしている.まず,医療行為が悪い結果に終わった場合は,何をおいても,医療者側は共感のこもった遺憾の念を心から表明すべきだということ.とにかく「残念な結果に終わった」事実を認め,無念さを遺族と共有する場を持つ.次に,真実の解明のためにすべての情報を公開すること.真っ先に「ソーリー(本書での和訳は『すみません』)」と言うのは,遺族と医療者が共に死者を悼んでおり,対立しているのではないことを示すのに非常に有効だ,と著者は言う.積極的で完全な情報公開も,医療者側も同じように原因究明・再発防止を願っていることの確認になる.対立する必要はまったくないのである.
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