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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻3号

2013年03月発行

雑誌目次

特集 関節リウマチの最新治療と理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.183 - P.183

 関節リウマチの治療はメトトレキサートなどの抗リウマチ薬や生物学的製剤の導入により,新たな治療体系が定着してきている.同時にリハビリテーションも早期介入や関節保護,患者教育がよりいっそう大切になってきている.理学療法の現場では,関節変形の進んだ方と罹患後まだ比較的期間の短い方との両者へのアプローチが求められており,理学療法士の考え方にも転換が求められていると考えられる.本特集では最新の治療知見を確認し,理学療法士が標準的に取り組むべき療法について整理していただいた.

関節リウマチに対する内科的治療の最新知見―生物学的製剤導入後の変化

著者: 伊藤聡

ページ範囲:P.185 - P.190

はじめに

 わが国の関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の内科的治療は,現在アンカードラッグ(治療の中心となる薬剤)として脚光を浴びているメトトレキサート(以下,MTX)の承認が1999年と,欧米諸国に約10年遅れをとり(米国での承認は1988年),生物学的製剤の承認も2003年と,欧米諸国に比べ約5年の遅れをとった(米国はエタネルセプトが1998年に承認,わが国ではインフリキシマブが2003年に承認).しかしその後,現在までに6つの生物学的製剤が承認され,また当初懸念されていた重篤な副作用も頻度がさほど高くないことが判明し,RA治療の切り札として普及している.また,MTXも,承認用量の上限が8mg/週と,欧米に比べて低いことが問題になっていたが,2011年2月に公知申請により16mg/週までの使用が可能になり,予後不良因子があれば第一選択薬としての使用が可能になった.生物学的製剤の多くは十分量のMTXの併用下で最大の効果を発揮することが判明しており,MTX承認用量の増加は,生物学的製剤の効果をさらに引き上げることになった.

関節リウマチに対する整形外科的治療の最新知見

著者: 仲村一郎 ,   竹中みずほ ,   竹中弘行

ページ範囲:P.191 - P.199

関節リウマチにおける手術療法の基本的考え方

 リウマチ手術の対象となる部位は上肢・下肢・脊椎の3つ,リウマチに対する手術術式も関節固定術,人工関節手術,関節形成・滑膜切除術の3つである.つまりリウマチ手術は決して複雑なものではなく,「3つの部位に3つの選択肢」という極めて単純な図式にまとめることができる(表1).

 関節固定術とは関節の動きを犠牲にして痛みをとりかつ支持性を得る手術である.ひとたび関節(骨)癒合が得られればその効果は生涯持続し,再手術の必要がないという利点もある.短所は骨癒合まで期間を要すること(約10週間)である.

関節リウマチに対する関節手術後の理学療法

著者: 高山正伸 ,   二木亮 ,   阿部千穂子 ,   長嶺隆二

ページ範囲:P.200 - P.208

はじめに

 関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の治療においては,生物学的製剤の登場により,関節破壊の抑制ができるようになってきた.しかし既に破壊が進んだ関節では外科的治療を要する.一般的に,RAの手術は除痛,関節可動域拡大,機能改善,変形矯正を目的に行われる.RAに対する関節手術の多くは関節形成術(人工関節手術を含む)と関節固定術に分けることができる(表1).前者は4つの目的すべてを達成し得る手術であるが,後者は関節可動域を犠牲にして他の目的を達成しようとする手術である.関節は部位によって役割が異なり,可動性が要求される部位もあれば固定性が要求される部位もある.原則として,可動性が重要な部位では関節形成術が選択され,関節形成術の成績が芳しくない部位もしくは可動性をあまり必要としない部位では関節固定術が選択される.

 関節形成術における理学療法では関節可動域拡大が大きなポイントとなる.関節固定術では関節の可動性を失わせることが目的であるため患部に対しなすべきことは何もないが,二次的な影響や術後ADL(activities of daily living)を踏まえた理学療法が必要となる.本稿では代表的な手術法を取り上げ,術後理学療法について解説する.

関節リウマチに対する物理療法の効果と可能性―侵害受容器の治療への応用と侵害受容性アプローチ

著者: 西山保弘

ページ範囲:P.209 - P.215

はじめに

 2012年度診療報酬改定において,維時期のリハビリテーションの見直しが行われた.要介護被保険者等に対するリハビリテーションは,状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合には医療保険下から介護保険下に移行することが定められた.今後は患者のニーズに応える在宅リハビリテーションでの物理療法のスキルの修得も必要になる.

 物理療法の目的は,関節痛や筋肉痛,関節腫脹,関節可動域,変形,筋萎縮などの改善と予防が挙げられる.臨床現場で関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に物理療法が用いられる理由の多くは,炎症に伴う急性または慢性関節痛である.中でも日常生活上のオーバーユースによる関節痛,筋肉痛,全身疲労感は,日常生活指導,基礎療法教育も含めた対処が必要である.

 本稿では,RAの改善が医学的に期待できる物理療法について臨床的私見も交えて考える.特に新しい戦略として,腫脹した関節部や軟部組織の痛覚過敏部位の侵害受容器を応用した侵害受容性アプローチ(nociceptive approach:NA),在宅で行うことのできる物理療法を紹介し,RAの物理療法の方向性を考える.

関節リウマチに対する生活支援技術―作業療法の視点から

著者: 林正春

ページ範囲:P.216 - P.225

関節リウマチの作業療法における生活支援技術の現在・過去・未来

 近年,関節リウマチ(reumatoid arthritis:RA)の薬物療法は劇的な変化を遂げている.抗リウマチ薬であるメトトレキサート(methotrexate:MTX)の登場で,病状の進行を緩和し,症状を安定させることができるようになった.さらに生物学的製剤の登場により,臨床的・構造的・機能的寛解が望める時代へと移り変わっている.しかし,治療の4本柱である薬物療法,手術療法,リハビリテーション,基礎療法のトータルマネジメントは今も昔もその重要性は変わらない.

 そのような状況のなか,T2T(treat to target:目標達成に向けた治療)という新しい考えのもと,リハビリテーションにおいても治療効果の数値目標を明確にし,目標達成に向けて対象者の理解を得ながら各療法と連動し,治療環境のさらなる充実を図るための取り組みが求められている.リハビリテーションによる治療目標としては,対象者の身体機能,精神機能,ADL(activities of daily living),IADL(instrumental activities of daily living),QOL(quality of life)を維持・継続が挙げられる.作業療法における生活支援技術へのアプローチは,障害を補う取り組みから,充実した質の高い動作を安全に安心して継続して行える取り組みへと変化を遂げている.そして,将来寛解レベルがさらに完治に近づけば,作業療法士が臨床の場面で専門的に生活支援へ取り組む機会がさらに減少する時代が訪れることが予想できる.そのような時代を見据え,生活支援における作業療法がT2TのONE PIECEとして認識されるよう,その効果を明らかにし,明確な数値目標を設定するなどの見直しが今まさに必要ではないかと考える.

とびら

三つ子の魂百まで

著者: 願法廣典

ページ範囲:P.181 - P.181

 「三つ子の魂百まで」とは,幼いときの性質は老人になっても変わらないという意味の諺である.実際に,胎児期から自我が目覚めはじめる3歳頃までの人間の脳は,一生の間で最も急速に発達するときで,親のかかわり方や養育環境の良し悪しが,その発達する脳にさまざまな影響を与えることが,進歩する最近の脳科学により解明されつつある.しかし,この重要な時期の子育てについての基本的な考え方や,具体的な方法について,積極的な情報などは見当たらず,子育ての方針も方法も,子どもの両親や家族の裁量にゆだねられているのが現状と思われる.

 子に対する親の思いや期待は多様で,家庭環境もさまざま,育て方も親の数だけあり,非常にデリケートな部分で介入しづらいところであるが,「躾」と書いて「ぎゃくたい」と読むなどと川柳に詠まれる身体的・精神的虐待,そして親の子殺しなど,子どもに関する悲惨な報道が後を絶たない昨今,根本的な解決に取りかかるときと考える.

入門講座 統計学入門・3

多群の比較

著者: 対馬栄輝

ページ範囲:P.227 - P.235

はじめに

 分散分析(analysis of variance;ANOVAと略すことが多い)は,3つ以上の標本または変数の平均差の検定であり,実験のデザインによってはさらに多くの手法に細分化される.関連した手法として,多重比較法という手法もある.

 分散分析はFisher RAにより確立された手法で,数理的には2標本または2変数の平均差を検定するt検定はもちろんのこと,回帰分析とも同一である.本稿では,分散分析の中でも,理学療法の研究において頻繁に用いられる手法に限って解説する.

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

APACHE(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)Ⅱ score

著者: 皿田和宏

ページ範囲:P.237 - P.237

 APACHE Ⅱ scoreとは,1985年にKnausら1)によって提唱されたICU(intensive care unit)入室患者の重症度を客観的に評価する指標である.0~71点で表され,重症度が高いとAPACHE Ⅱ scoreは高くなる.また, APACHE Ⅱ score,緊急手術の有無,入室原因疾患名から院内予測死亡率を算出できる.APACHE Ⅱ scoreと院内予測死亡率を用いて,ICUにおける治療成績の年次比較や多施設間比較を行うことが可能である.

医療器具を知る

尿道カテーテル

著者: 高橋哲也

ページ範囲:P.240 - P.240

 尿道カテーテルは,各種手術後や重症患者のように正確な水分出納管理が必要な場合に加えて,神経因性膀胱で間欠的自己導尿法ができない場合,重度の尿道通過障害や尿閉を認める場合などに使用される.

学会印象記

―第28回日本義肢装具学会―義肢装具・支援機器がシステムとして発展していくために

著者: 永冨史子

ページ範囲:P.238 - P.239

義肢装具「学術」大会

 2012年11月10日(土)・11日(日)の2日間,第28回日本義肢装具学会学術大会(以下,本学会)が愛知県の名古屋国際会議場において開催された.特別講演と口述発表は5会場で,ポスター発表と企業展示は展示ホールを2つに区切って行われた.発表演題数は206題(口述140題,ポスター66題)にのぼり,参加者は1,843名と,大変な盛会であった.

 学会テーマは「システムとしての義肢装具・支援機器」であった.義肢装具・支援機器は,医療とコラボレーションさせた「システム」であるべきこと,また病院から在宅という異なる環境を通じ適切に提供され,暮らしを再構築していく「システム」であること,さらに専門職やユーザーも「システム」の重要な構成要素であることなど,義肢装具・支援機器の臨床応用は複数の「システム」からなると解釈できた.本学会ではプログラム全体として一貫してこのテーマを表現しており,義肢装具を多面的に考え,学ぶ構成となっていた.

講座 運動連鎖・3

片麻痺者の体幹から見た歩行の運動連鎖

著者: 斎藤智雄

ページ範囲:P.241 - P.248

はじめに

 私たちは,生後から常に重力環境下で欲求を満たし,目的を果たすための動作・行為を行っている.たとえ目的は一つであっても,その目的を達成するために,ヒトは効率的かつ楽に動くためのさまざまな手段(戦略)を無意識下で選択している.その背景となるシステムについて,Shumway-Cookらは ① 目的(課題要素),② 重力や床面の状況などの環境的側面(環境要素),③ 個人の身体的特性(個別性)の3要素による姿勢制御システム(図1)を提唱している1)

 座っている人が何らかの目的で移動していく際に,歩行という移動手段を用いる場合を考えてみると,座位から立ち上がり,二足立位でバランスを保ちながら,重心が前方に移動し,重心線が支持面から外れたところから一歩を踏み出し,連続的に歩行するといった活動のなかで,絶え間ない運動連鎖が身体内部で起こっている.また同時に,課題内容や環境の変化により,時間的・空間的な制約を受けたなかで,平衡を保ちながら動作を安定して遂行するために,体幹が果たす役割は大きいと言える.その役割のなかで重要となるのが,重力環境への適応性だと考える.系統発達から考えても,四足動物から二足で直立した姿勢を獲得したヒトでは,抗重力性を保つため,筋活動の変化が不可欠となった.運動を保障するための安定作用をもった体幹の背面深層の単関節筋がより発達している一方,大腿長は長くなっており,多関節筋もしくは,長い走行の筋はより長くなり効率的に動けるような構造に変化してきている2).ヒトは重力環境下で常に支持面からの反力情報を効率的に得て,体幹を選択的に伸展する機能が保障されていることで,より複雑な目的達成のため,両手を自由に使用できたり,コミュニケーションがとれたり,二本足で歩くという人間の三大機能を存分に使用することができるのである.

 では,中枢神経疾患に伴う片麻痺者ではどうだろうか.重力と支持面との関係性のなかで,ヒト本来の機能をどのように使用しているか,もしくはどのように使用できていないのかを観察し,評価をしていく必要性がある.多くの片麻痺者で,体幹の抗重力性が乏しくなり,安定性を確保するために体幹は屈曲優位となりやすく,代償的に非麻痺側上下肢を使用し姿勢を保持しようとする場面を多く見ることがある.このため,座位から立ち上がり,歩行する場合において,立ち上がる前の段階で準備ができておらず,代償的で定型的な姿勢・運動パターンを用いてしまうため,非効率で危険を伴いながらの歩行を余儀なくされることが多い.

 本稿では,座位や立位姿勢と歩行との関係性について,実際の症例を通して評価と治療の中で得られた見解を含め再考したい.

臨床実習サブノート 基本動作の評価からプログラムを立案する・12

関節リウマチ患者の基本動作の評価からプログラムを立案する

著者: 川上貴弘 ,   竹内弥彦 ,   村山尊司

ページ範囲:P.249 - P.255

はじめに

 関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は,多発性関節炎を主徴候とする原因不明の進行性全身性疾患である.発症初期には関節滑膜に持続的炎症が起こり,次に周囲の軟骨,骨が侵され関節破壊・変形を引き起こす.RAの関節炎は手・手指関節から対称的に発症することが多く,病期の進行とともに肘・肩・膝・足関節へと波及する.関節破壊や変形,疼痛等により引き起こされる関節可動域障害や筋力低下等の機能障害は,進行するにつれ次第にADL(activities of daily living)を低下させる.

 近年,生物学的製剤等の薬物の発展に伴いRAに対する治療目的が大きく変化している.かつては,関節の疼痛・腫脹の寛解や炎症をコントロールするというものであったが,現在では免疫抑制薬や生物学的製剤の使用により,臨床症状を認めない臨床的寛解,さらに骨破壊の進行がない構造的寛解,日常生活に支障がない機能的寛解まで治療目標は進化している.2010年には米国リウマチ学会(American College of Rheumatology:ACR)と欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism:EULAR)の共同で関節リウマチの新分類基準が発表され1),これによってRAの早期診断が可能となり,抗リウマチ薬を早期から投与できるケースも増えてきている.また,リウマチのケアに関しては,トータルマネジメントの考え方により多職種間の連携した支援の重要性が提唱されている2)

 このようなRAを取り巻く状況の変化のなかにおいても,運動療法を中心とした理学療法はチーム医療において重要な役割を担っている.本稿では,RAの病態および機能障害,RA患者にみられやすい動作の特徴について,実際のRA症例を取り上げながら紹介する.さらに,RA症例に対する理学療法プログラム立案の考え方および内容について,最近の知見を踏まえ解説していく.

報告

Timed Up & Go Testに認知課題を付加した場合の動作遂行時間への影響―転倒群と非転倒群での比較

著者: 森下将多 ,   島岡秀奉 ,   藤本弘昭

ページ範囲:P.259 - P.264

要旨:[目的]転倒リスクを評価する方法として,Timed Up & Go Test(以下,TUG)と併用した二重課題の有用性が報告されている.今回,遂行機能に着目し,TUGに独自で考えた認知課題を付加した連続的な二重課題(D-TUG)を実施し,転倒との関連を検討した.[対象]対象は,当院に入院または外来や通所にてリハビリテーションを実施している方で,屋内歩行が独歩または杖歩行にて自立している60名(転倒群30名,非転倒群30名)とした.[方法]運動機能評価として,10m歩行テストとTUGを実施した.認知機能評価として,RDST-Jを実施した.運動および認知機能を複合して評価する目的として,従来のTUGに左右のどちらに回るかを判断する認知課題を加えたD-TUGを実施した.[結果]転倒群と非転倒群で比較して,年齢,10m歩行テスト,TUG,RDST-Jでは有意差は認められなかったが,D-TUGは転倒群が有意に時間を要する結果であった.[結語]今回の研究から,連続的な二重課題が転倒リスクの評価として有用であり,遂行機能との関連が示唆された.また,今回の二重課題は,運動機能や認知機能の単課題では遂行機能の低下が少ない高齢者を対象に用いることで,より有効な評価方法として活用できると言える.

症例報告

エベロリムスにより重度の薬剤性間質性肺炎を呈した症例の呼吸理学療法経験

著者: 岩井宏治 ,   平岩康之 ,   小熊哲也

ページ範囲:P.265 - P.269

要旨:エベロリムスにより重度の薬剤性間質性肺炎を呈した症例の呼吸理学療法を経験した.症例はもともと肺疾患を有していないことに加え,ステロイド療法による原疾患のコントロールが期待できることから,慢性閉塞性肺疾患(COPD)に準じた呼吸理学療法プログラムを,リスク管理に注意し実施した.結果,運動誘発性低酸素血症の軽減,筋負荷による筋量増加が認められ,運動耐容能,日常生活活動(ADL)の改善を認めた.特に運動耐容能は先行報告と比較し,一定以上の効果が認められた.

 エベロリムスによる薬剤性間質性肺炎では,重症度にかかわらず,全身状態が安定している限り積極的な呼吸理学療法の介入が可能であり,ステロイド療法と呼吸理学療法の併用が,運動耐容能改善とADL改善に有効ではないかと思われた.

お知らせ

第18回3学会合同呼吸療法認定士認定講習会および認定試験/第4回顔面神経麻痺リハビリテーション技術講習会/2013年度畿央大学ニューロリハビリテーションセミナー/学会へ行こう・第90回日本生理学会

ページ範囲:P.215 - P.269

第18回3学会合同呼吸療法認定士認定講習会および認定試験

 3学会(特定非営利活動法人日本胸部外科学会,社団法人日本呼吸器学会,公益社団法人日本麻酔科学会)合同呼吸療法認定士認定委員会は,学会認定制度による「3学会合同呼吸療法認定士」の認定を行うため,標記認定講習会および試験を下記の通り実施します.

書評

―高橋仁美・宮川哲夫・塩谷隆信(編)―「動画でわかる呼吸リハビリテーション 第3版」

著者: 千住秀明

ページ範囲:P.257 - P.257

 本書は2006年8月に初版が出版されて以来,2012年11月までに3回の改訂と10回の増刷を行うなど,最近の呼吸リハビリテーションの知識と技術を網羅した,多くの読者のニーズに応える名著である.

 内容は「第1章 呼吸リハビリテーションとは」「第2章 呼吸リハビリテーションに必要な呼吸器の知識」「第3章 呼吸リハビリテーションの進め方」「第4章 呼吸リハビリテーションに必要な評価」「第5章 呼吸リハビリテーションのプログラム」「第6章 呼吸リハビリテーションの実際」で章立てされ,執筆者は秋田大学を中心としているが,重要な章では臨床現場の第一線で活躍している諸先生方を配置するなど,情報の偏在を少なくする工夫がなされている.

―野村 歡・橋本美芽(著)―「OT・PTのための住環境整備論 第2版」

著者: 加島守

ページ範囲:P.271 - P.271

 介護保険制度の施行や医療保険制度改正などにより,回復期リハビリテーション病院や介護老人保健施設から退院および退所するときに理学療法士や作業療法士らが退院時指導を行い住環境整備にかかわることも多くなっている.

 しかし現状では,理学療法士も作業療法士も実際の住宅改修に対しての知識はまだまだ不十分ではないかと思われる.時には「理学療法士や作業療法士の方の住宅改修プランは理想論だ」と言われたことを聞いた.さらに病院退院時の指導が退院後どのような効果があるのか,指導が不十分であったかを把握する体制にはなっていない.

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次号予告

ページ範囲:P.199 - P.199

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.264 - P.264

文献抄録

ページ範囲:P.272 - P.273

編集後記

著者: 横田一彦

ページ範囲:P.276 - P.276

 今月の特集は「関節リウマチ」です.疾患としては本誌の前身である『理学療法と作業療法』で特集「リウマチ(22巻12号,1988年)」として取り上げて以来,各論としても約十年前の特集「物理療法の効果(37巻7号,2003年)」,約二十年前の特集「整形外科(26巻2号,1992年)」の1章としてから,久しぶりのものとなります.この10年では新しい抗リウマチ薬や生物学的製剤の導入により大きな治療効果を上げ,私たち理学療法士のかかわりにも大きな変化が起きている疾患であると思います.

 伊藤論文では内科的な治療の柱となった生物学的製剤についてわかりやすく整理していただき,理学療法士へ望むことも記していただきました.仲村論文では関節リウマチの整形外科手術について整理していただき,内科的治療との新たな関係性を示していただきました.文中の「RAのOA化」というお言葉は非常に印象的です.高山論文では関節リウマチに対する手術後理学療法の豊富な経験から,具体的な療法実施上の注意点を示していただきました.西山論文では,侵害受容性アプローチという概念から関節リウマチに対する物理療法について解説していただきました.林論文では生活支援技術の視点に立つ作業療法士の立場から,具体的な事例と考え方を述べていただきました.また,ちょうど連載企画の臨床実習サブノートでは,関節リウマチの基本動作からのプログラム立案について,わかりやすく示していただくことができました.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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