icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻3号

2013年03月発行

文献概要

特集 関節リウマチの最新治療と理学療法

関節リウマチに対する生活支援技術―作業療法の視点から

著者: 林正春1

所属機関: 1JA静岡厚生連リハビリテーション中伊豆温泉病院

ページ範囲:P.216 - P.225

文献購入ページに移動
関節リウマチの作業療法における生活支援技術の現在・過去・未来

 近年,関節リウマチ(reumatoid arthritis:RA)の薬物療法は劇的な変化を遂げている.抗リウマチ薬であるメトトレキサート(methotrexate:MTX)の登場で,病状の進行を緩和し,症状を安定させることができるようになった.さらに生物学的製剤の登場により,臨床的・構造的・機能的寛解が望める時代へと移り変わっている.しかし,治療の4本柱である薬物療法,手術療法,リハビリテーション,基礎療法のトータルマネジメントは今も昔もその重要性は変わらない.

 そのような状況のなか,T2T(treat to target:目標達成に向けた治療)という新しい考えのもと,リハビリテーションにおいても治療効果の数値目標を明確にし,目標達成に向けて対象者の理解を得ながら各療法と連動し,治療環境のさらなる充実を図るための取り組みが求められている.リハビリテーションによる治療目標としては,対象者の身体機能,精神機能,ADL(activities of daily living),IADL(instrumental activities of daily living),QOL(quality of life)を維持・継続が挙げられる.作業療法における生活支援技術へのアプローチは,障害を補う取り組みから,充実した質の高い動作を安全に安心して継続して行える取り組みへと変化を遂げている.そして,将来寛解レベルがさらに完治に近づけば,作業療法士が臨床の場面で専門的に生活支援へ取り組む機会がさらに減少する時代が訪れることが予想できる.そのような時代を見据え,生活支援における作業療法がT2TのONE PIECEとして認識されるよう,その効果を明らかにし,明確な数値目標を設定するなどの見直しが今まさに必要ではないかと考える.

参考文献

1)日本作業療法士協会(監),菅原洋子(編):作業療法学全書,改訂第3版第4巻 サ行治療学1―身体障害.協同医書出版,2008
2)八木範彦,他(編):リハ実践テクニック―関節リウマチ,pp102-163,メジカルビュー,2009
3)生田宗博(編):I・ADL―作業療法の戦略・戦術・技術,第3版,三輪書店,2012
4)林 正春:関節リウマチにおけるスプリントの可能性―スプリントでよみがえる機能,そして作業療法が生かされる.OTジャーナル40:509-515,2006
5)林 正春,他:家事技能への支援―家事のための外出支援 リウマチ患者に対する外出支援 買い物(食料品および日用品)動作への支援を考える.OTジャーナル41:657-663,2007
6)林 正春:RAの新しい治療戦略におけるリハビリテーション治療の位置づけ―ADL指導と自助具の活用.MB Med Rehabil 121:61-69,2010
7)林 正春:共に生きるための支援―関節リウマチ患者と共に生きるための作業療法とは.OTジャーナル44:585-591,2010
8)林 正春:関節リウマチの作業療法に求められる生活支援技術.OTジャーナル45:1034-1043,2011
9)林 正春:生活行為別にみたテクニカルエイド―服薬関連用具.OTジャーナル46:769-773,2012
10)林 正春:生活行為別にみたテクニカルエイド―更衣関連用具.OTジャーナル46:733-739,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?