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臨床実習サブノート 基本動作の評価からプログラムを立案する・12
関節リウマチ患者の基本動作の評価からプログラムを立案する
著者: 川上貴弘1 竹内弥彦2 村山尊司1
所属機関: 1千葉県千葉リハビリテーションセンターリハビリテーション療法部成人理学療法科 2千葉県立保健医療大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
ページ範囲:P.249 - P.255
文献購入ページに移動関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は,多発性関節炎を主徴候とする原因不明の進行性全身性疾患である.発症初期には関節滑膜に持続的炎症が起こり,次に周囲の軟骨,骨が侵され関節破壊・変形を引き起こす.RAの関節炎は手・手指関節から対称的に発症することが多く,病期の進行とともに肘・肩・膝・足関節へと波及する.関節破壊や変形,疼痛等により引き起こされる関節可動域障害や筋力低下等の機能障害は,進行するにつれ次第にADL(activities of daily living)を低下させる.
近年,生物学的製剤等の薬物の発展に伴いRAに対する治療目的が大きく変化している.かつては,関節の疼痛・腫脹の寛解や炎症をコントロールするというものであったが,現在では免疫抑制薬や生物学的製剤の使用により,臨床症状を認めない臨床的寛解,さらに骨破壊の進行がない構造的寛解,日常生活に支障がない機能的寛解まで治療目標は進化している.2010年には米国リウマチ学会(American College of Rheumatology:ACR)と欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism:EULAR)の共同で関節リウマチの新分類基準が発表され1),これによってRAの早期診断が可能となり,抗リウマチ薬を早期から投与できるケースも増えてきている.また,リウマチのケアに関しては,トータルマネジメントの考え方により多職種間の連携した支援の重要性が提唱されている2).
このようなRAを取り巻く状況の変化のなかにおいても,運動療法を中心とした理学療法はチーム医療において重要な役割を担っている.本稿では,RAの病態および機能障害,RA患者にみられやすい動作の特徴について,実際のRA症例を取り上げながら紹介する.さらに,RA症例に対する理学療法プログラム立案の考え方および内容について,最近の知見を踏まえ解説していく.
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