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特集 予防と理学療法
片麻痺の姿勢変化の予防と理学療法
著者: 馬場孝浩1
所属機関: 1鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院
ページ範囲:P.303 - P.307
文献購入ページに移動片麻痺者の姿勢変化を評価,治療するためには,運動系,感覚系,認知・知覚系などの姿勢制御に必要な各因子が障害されていることを認識したうえで,時間的側面,空間的側面からの検討に加え,条件提示を含めた環境面も考慮しなければならないと言われている1).本稿のテーマである片麻痺の姿勢変化の予防を目的とした実践には,一般的にベッド上のポジショニング,車いすシーティング,物理療法や運動療法を組み合わせたアプローチなどが挙げられる.そして,これらのアプローチを急性期から維持期に至るまで継続することは,効率のよい安全な動作を獲得し関節拘縮をつくらないという観点からも重要である.
しかし,脳血管障害患者を対象としたROM(range of motion)制限についての調査によると2),急性期におけるROM制限は35%,回復期や維持期は約90%にROM制限が認められたと報告されており,拘縮の予防が簡単ではないことは明白な事実である.回復期でROM制限の割合が多い理由としては,積極的なリハビリテーション実施による活動性の向上に伴い連合反応が強まる時期であること,さらには筋緊張亢進,筋長の短縮,不動といった悪循環が形成されることも挙げられている2).
本稿では,車いすシーティングを用いた環境的アプローチに焦点を当て,片麻痺者の車いす座位姿勢における問題と改善策について,回復期リハビリテーション病棟に入院されている症例を提示しながら紹介する.
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