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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻4号

2013年04月発行

文献概要

特集 予防と理学療法

片麻痺の姿勢変化の予防と理学療法

著者: 馬場孝浩1

所属機関: 1鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院

ページ範囲:P.303 - P.307

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はじめに

 片麻痺者の姿勢変化を評価,治療するためには,運動系,感覚系,認知・知覚系などの姿勢制御に必要な各因子が障害されていることを認識したうえで,時間的側面,空間的側面からの検討に加え,条件提示を含めた環境面も考慮しなければならないと言われている1).本稿のテーマである片麻痺の姿勢変化の予防を目的とした実践には,一般的にベッド上のポジショニング,車いすシーティング,物理療法や運動療法を組み合わせたアプローチなどが挙げられる.そして,これらのアプローチを急性期から維持期に至るまで継続することは,効率のよい安全な動作を獲得し関節拘縮をつくらないという観点からも重要である.

 しかし,脳血管障害患者を対象としたROM(range of motion)制限についての調査によると2),急性期におけるROM制限は35%,回復期や維持期は約90%にROM制限が認められたと報告されており,拘縮の予防が簡単ではないことは明白な事実である.回復期でROM制限の割合が多い理由としては,積極的なリハビリテーション実施による活動性の向上に伴い連合反応が強まる時期であること,さらには筋緊張亢進,筋長の短縮,不動といった悪循環が形成されることも挙げられている2)

 本稿では,車いすシーティングを用いた環境的アプローチに焦点を当て,片麻痺者の車いす座位姿勢における問題と改善策について,回復期リハビリテーション病棟に入院されている症例を提示しながら紹介する.

参考文献

1)高見彰淑:姿勢 姿勢異常と理学療法―脳卒中による姿勢異常に対する理学療法.理学療法24:188-195,2007
2)奈良 勲,他(編):拘縮の予防と治療,第2版,医学書院,2008
3)廣瀬秀行,他:高齢者のシーティング,三輪書店,2006
4)平田 学,他:不適切なシーティングによる二次障害発生のリスク.総合ケア16:20-24,2006
5)伊藤利之,他(監):車いす・シーティング―その理解と実践,はる書房,2005
6)及川雅博,他:急性期病棟における車いす使用の問題点―車いす上の身体拘束と褥瘡.国立障害者リハセ研紀30:47-52,2009
7)古賀 洋,他:Hoffer座位能力分類(JSSC版)の評価者間信頼性の検証.Rehabil Engineering 24:92-96,2009
8)木之瀬隆:高齢者のシーティング―車いすシーティングと座位能力分類による対応.理学療法兵庫12:29-36,2006
9)廣瀬秀行:リハビリテーション技術―座位姿勢計測システム.臨床リハ18:361-363,2009
10)岩崎 洋:成人のシーティング―片麻痺と高位頸髄損傷者について.理学療法学29:302-308,2002
11)Broetz D, et al:New aspects for the physiotherapy of pushing behaviour. NeuroRehabilitation 20:133-138, 2005
12)馬場孝浩,他:片麻痺患者の車いす駆動における殿部ズレの発生要因―体幹機能に着目して.理学療法学33:567,2006
13)西村重男:アクティブ・バランス・シーティング物語.Rehabil Engineering 22:2-15,2007
14)大渕哲也:姿勢が横に崩れる利用者の車いすの選択と調整.おはよう21 231:48-51,2009
15)繁成 剛:高齢者に対するシーティング技術.臨床リハ18:149-155,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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