icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻4号

2013年04月発行

文献概要

臨床実習サブノート 理学療法をもっと深めよう・1【新連載】

疼痛を理解する

著者: 松原貴子1 城由起子2

所属機関: 1日本福祉大学健康科学部リハビリテーション学科 2名古屋学院大学リハビリテーション学部理学療法学科

ページ範囲:P.359 - P.363

文献購入ページに移動
疼痛の正体って何だ?

 疼痛は「実質的または潜在的な組織損傷に結びつく,あるいはそのような損傷を表す言葉を使って表現される不快な感覚・情動体験」(国際疼痛学会,1994)と定義されている.つまり,疼痛は一感覚というだけでなく情動的価値判断を伴い,また組織損傷との対応が見出されないものも含む1).このように,疼痛は組織損傷の舞台である末梢レベルから,その情報を伝え情動や認知として処理を行う脊髄,大脳皮質,辺縁系など中枢レベルの機能異常まで幅広い視野で病態をとらえる必要がある.

 現在では,疼痛は①組織損傷に起因する急性痛と,②組織損傷や外傷イベントが明確でないか,治癒した後にもかかわらず残存・増悪する慢性痛に分類されている.また,米国議会による「Decade of Pain Control and Research痛みの10年(2001~2010年)」宣言を受け,世界的規模で慢性痛医療・研究に取り組む潮流が生み出され,疼痛医療の発展に大きなエポックを画した.

参考文献

1)松原貴子:痛みの基礎.松原貴子,他(編著):ペインリハビリテーション,pp2-47,三輪書店,2011
2)沖田 実:痛みの発生メカニズム―末梢機構.松原貴子,他(編著):ペインリハビリテーション,pp134-177,三輪書店,2011
3)鈴木重行,他:痛み.細田多穂,他(編):理学療法ハンドブック改訂第4版,第1巻理学療法の基礎と評価,pp499-501,協同医書出版,2010
4)松原貴子:臨床で活用されている痛みの評価.松原貴子,他(編著):ペインリハビリテーション,pp249-286,三輪書店,2011
5)Chou R, et al:Clinical Efficacy Assessment Subcommittee of the American College of Physicians;American College of Physicians;American Pain Society Low Back Pain Guidelines Panel:Diagnosis and treatment of low back pain:a joint clinical practice guideline from the American College of Physicians and the American Pain Society. Ann Intern Med 147:478-491, 2007
6)森岡 周:脳のリハビリテーション―新たな潮流.松原貴子,他(編著):ペインリハビリテーション,pp327-362,三輪書店,2011
7)松原貴子:認知行動療法.真下節・他(編):複合性局所疼痛症候群,pp203-210,真興交易医書出版部,2009
8)Hayden JA, et al:Systematic review:strategies for using exercise therapy to improve outcomes in chronic low back pain. Ann Intern Med 142:776-85, 2005
9)北原雅樹:米国におけるMultidisciplinary Pain Clinicの現状と問題点.ペインクリニック28:S286-292,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?