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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻8号

2013年08月発行

文献概要

特集 物理療法の再興

物理療法の臨床適応の課題と方略

著者: 高岡克宜1 鶯春夫2 田野聡1

所属機関: 1橋本病院リハビリテーション部 2徳島文理大学保健福祉学部理学療法学科

ページ範囲:P.669 - P.675

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臨床における物理療法の現況と位置付け

 物理療法は,運動療法,日常生活活動指導,義肢装具療法などとともに理学療法の根幹をなす治療法であることは言うまでもない.臨床においても運動療法と同じく臨床推論を基盤として,患者を評価し病態仮説を立て種々の物理療法機器を選択し,患者治療に活かされるべきである.

 しかし臨床においては,われわれ理学療法士が物理療法を十分活用できているかどうか疑問を感じる場面が多くみられる.山本ら1)は,物理療法は運動療法に対する補助的手段であり,施行は助手任せ,学生の臨床実習ではほとんどの治療体験なしと,理学療法士の物理療法軽視ともとれる状況を指摘している.また,庄本2)の日本理学療法学術大会における物理療法に関する発表等の調査によると,2005年では物理療法関係に関する発表は基礎,臨床研究を含めて41演題(3.3%),2006年では40演題(3.4%),2007年では44演題(3.2%),2008年では50演題(2.9%),2009年では44演題(2.4%),2010年では46演題(3.0%)であり,学術論文においては,日本理学療法士協会の機関誌である『理学療法学』では,2005年は0論文,2006年は2論文(5.6%),2007年は3論文(11.5%),2008年は0論文,2009年は1論文(2.9%)であったと報告している.これらの結果は,本来理学療法士が用いることができる貴重な治療手段である物理療法の積極的な使用がなされていない現況を示していると思われる.

参考文献

1)山本双一,他:物理療法研究の最近10年間の動向.高知リハビリテーション学院紀要3:25-30,2002
2)庄本康治:物理療法の現状と問題点.庄本康治(編):最新物理療法の臨床適応,pp2-6,文光堂,2012
3)高岡克宜,他:臨床現場の立場から見た物理療法の実態―理学療法士を対象としたアンケート調査から.日本物理療法学会会誌19:17-21,2012
4)川村博文,他:物理療法の最近の動向.理学療法学38:323-325,2011
5)内田賢一,他:臨床および養成機関における物理療法の現状報告.日本物理療法学会誌17:23-24,2010
6)GOH Ah-Cheng:物理療法のEBM―臨床的推論・医学判断学.理学療法学39:253-256,2012
1)GOH Ah-Cheng:疼痛に対する物理療法のEBPT実践モデル.理学療法25:648-662,2008
2)杉元雅晴:物理療法の領域とその可能性―多様化する分野と今後の展望.理学療法学17:205-206,1990
3)杉元雅晴,他:物理療法の領域とその可能性―物理療法が抱える問題点について.理学療法学17:207-210,1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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