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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル47巻9号

2013年09月発行

雑誌目次

特集 在宅理学療法の可能性を探る

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.765 - P.765

 在宅における理学療法は潜在的ニーズが高いばかりでなく,積極的なかかわりが求められている.医療費は医療から安価な介護へ移りつつあり,在院日数短縮で,十分な理学療法が受けられずに退院する患者が増え,対象疾患の幅も広がっている.これからの在宅理学療法は,量的問題を解決するとともに,その質的向上を図る努力が求められる.本特集では,専門分野の先生方から,現在の取り組みと将来に向けた在宅理学療法の可能性について述べていただき,座談会では地域での経験の長い先生方とともに,あらためて利用者の視点に立ち,さまざまな問題や矛盾などにも触れ,これからの在宅理学療法の可能性を考える機会とした.

在宅医療における理学療法の可能性

著者: 平原佐斗司

ページ範囲:P.767 - P.773

21世紀前半を示すキーワード

 21世紀前半の日本の医療・福祉の方向性を示すキーワードがある.超高齢社会,需要爆発,そして多死社会である.

 日本は2007年に超高齢社会に突入したが,本当の意味で社会が急速に老いていくのはその後の20年である.21世紀最初の約20年で後期高齢者数は倍増し,その後30年間その数は維持される.

脳血管疾患における在宅理学療法の可能性

著者: 相島孝行

ページ範囲:P.774 - P.780

はじめに

 理学療法の世界に携わるようになり,17年が経過した.まさに医療制度の変革の流れを体感,医療の細分化をしていくさまを,さまざまな考えをもちながら体験してきた.患者へかかわる形態も,従来の急性期から在宅まで同じ施設で患者のフォローを行う形態から,介護保険の開始,回復期病棟の開設,疾病別の医療保険の期限の設定などにより,大きく変化した.そこに携わるセラピストも大きな変化に対応すべく,切磋琢磨している.そこで本稿では,このような貴重な機会を与えていただき,私自身の理学療法士としての根幹となる考えと,これまで取り組んできた脳血管疾患,特に脳卒中片麻痺患者への理学療法を紹介し,在宅理学療法の可能性を考えていきたい.

呼吸器・心大血管疾患における在宅理学療法の可能性

著者: 竹村仁 ,   安藤真次 ,   本田祐一 ,   舛友一洋

ページ範囲:P.781 - P.786

はじめに

 わが国における2011年度死因別順位の2位は心疾患で19万4,926人,第3位は肺炎12万4,749人であり,それまでの3位だった脳血管疾患を肺炎が抜いたと昨年話題になったのは記憶に新しい(表1).また心疾患のなかでも心不全による死亡は6万9,368人で,図1aに示すように過去10年でパンデミックと呼ばれるほど急激に増加している.さらに,慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)の死亡者数は1万6,639人で,男性では死因別順位7位(女性は16位)でこれも増加傾向にある(図1b)1)

 また,2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり,高齢者人口は3,500万人と推測されている.当然,疾病患者数が増加していくわけだが,国の施策では病床数の増加は期待できず,将来,相当数の呼吸器・心大血管疾患が在宅理学療法の対象になる時代が来ると予想される.

 そうした将来を見据えたうえで,本稿では現状について解説し,実際の在宅理学療法における留意点について述べていく.

運動器疾患における在宅理学療法の可能性

著者: 藤本義道

ページ範囲:P.787 - P.795

はじめに

 在宅において,いわゆる機能練習ばかり提供していないだろうか? 在宅医療にかかわりはじめて早15年,常に頭の隅に置いている言葉である.理学療法養成校の面接試験で安易に「人の役に立ちたい」と述べていた自分を恥じている.あっという間の歳月ではあったが,これまでさまざまな人間模様とともに多くの問題に直面し,時にはこの仕事のやりがいに突っ走り,また時には自分の無力さに失望した.思えば“やる気”だけでは行えない,非常にシビアでとても大切な仕事であると考えている.

 本稿で私に与えられたテーマは「運動器疾患における在宅理学療法の可能性」である.しかし在宅医療では,病院内のように運動器・中枢・内部疾患と個別で対応することはまず考えられず,すべてを包括したリハビリテーションサービスとして提供していることを前提として述べる.ターゲットは「疾患」ではなく,「生活」リハビリテーションである.「完全なる在宅リハビリマニュアル」はまず存在し得ないが,医療・福祉・介護分野でのよりよいリハビリテーションサービス追求のため,現場の経験から得てきたポイントを中心に紹介する.何らかのヒントになれば幸いである.

座談会「在宅における理学療法の可能性」

著者: 金谷さとみ ,   押木利英子 ,   北原絹代 ,   野尻晋一 ,   湯元均

ページ範囲:P.796 - P.807

金谷 本日は,在宅における理学療法のこれからの可能性について,そのヒントになるようなものを見出すために,皆さんが在宅にかかわるなかで日ごろ感じておられること,問題点,理学療法の将来の広がりなどについてお話しいただきたいと思います.

 これからの日本は,要介護高齢者と後期高齢者がますます増加していきます.私は在宅総合ケアセンターのセンター長を務めていますが,訪問理学療法のニーズが高いことに驚く日々です.ただもう少し視野を広げると,高齢者だけでなく,小児,障害者などさまざまな制度の狭間にある人を抜きに理学療法は考えられないと感じています.本座談会では,そうした理学療法の「幅」と「奥行き」に焦点を当ててみたいと思います.

とびら

今,理学療法士の今後を考えて

著者: 並河茂

ページ範囲:P.763 - P.763

 理学療法士になり,37年が過ぎました.今日まで臨床ひと筋できました.

 昨年定年退職で36年間勤務した病院を去り,新たな病院に再就職しました.改めて組織でのわれわれの仕事の在り方をみて考えたことがあります.ある病院のリハビリテーション科は,スタッフが10名以上いるのに,科のトップが辞めて,トップ不在が1年以上となっていました.ここで問題なのは,今や社会は組織の時代だと言われていて,われわれのように専門知識をもつ知的労働者は,ともすれば個人プレーに走りがちになりますが,他の知的労働者のもつ知識と取り合わせてチームで動いたほうが効率が良いのでチーム医療があるのに,このことがわかっていないということでした.「組織に寄りかからない個」が確立された人物は仕事ができるとも言われていますが,まずは組織がなければビジョンも出てきませんし,人も育たないのです.トップがいないから部下が育ちません.若いスタッフが多いから,組織がわかっていない状況でもありました.場当たり的に行動しても何もみえてきません.効率よく仕事をするにはテーマが必要なのに,仕事をこなすことで終わっていました.この状況を打破するには,リーダーの存在とビジョンをもった組織運営が不可欠ではないかと考えますが,皆さんの職場はいかがですか.リーダーは部下を育てようとしていますか.今一度見直してください.

あんてな

第48回日本理学療法士協会全国学術研修大会(in静岡)のご案内

著者: 和泉謙二

ページ範囲:P.810 - P.817

 第48回日本理学療法士協会全国学術研修大会が,2013年10月4日(金)・5日(土)の2日間にわたり,“ふじのくに 静岡”の浜松市で開催されます.今年は,富士山(図1)が世界文化遺産に登録された記念すべき年となり,その年にここ静岡県において全国学術研修大会が開催されることを大変喜ばしく思います.会場となるアクトシティ浜松(図2)が擁するアクトタワーからも,秋晴れとなれば美しい富士山の眺望が期待できます.また,チラシやポスターなどで既にご覧になっている方も多くいらっしゃるかと思いますが,静岡大会のロゴマーク(図3)は全体としては「人」を表現し,富士山を中心に,静岡の名物,名産のイメージを取り入れたものとなっています.

 現在,全国の会員の皆様が,参加してよかったと感じる大会となるよう,静岡県理学療法士会の会員一同鋭意準備中です.ぜひ,全国学術研修大会の地,静岡県浜松市へお越しください.

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

認知症の行動・心理症状―behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD

著者: 田中義行

ページ範囲:P.819 - P.819

●BPSD(認知症の行動・心理症状)とは

 認知症とは「一度成熟した知的機能が,何らかの脳の障害によって広汎に継続的に低下した状態」であり,疾患名を表すものではない.例えば患者が「アルツハイマー病」に罹患していたとしても,「知的機能が広汎に継続的に低下した状態」でなければ「アルツハイマー型認知症」ではないということである.

 認知症には代表的なアルツハイマー型認知症の他に脳血管型認知症,レビー小体型認知症,前頭側頭葉変性症(ピック病など)など根本的な治療が難しい認知症と,慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症,脳腫瘍などから起こる原因疾患の治療により根治が可能な認知症もある.原因疾患から直接発生する記憶力障害,見当識障害,遂行機能障害,病識の欠如,失語・失行・失認などが代表的な症状で「中核症状」と呼ばれる.

医療器具を知る

カフ付き気管切開チューブ

著者: 田代尚範

ページ範囲:P.823 - P.823

 カフ付き気管切開チューブとは,カフの付いた気管切開チューブを総称したものである.気管切開後の気道確保のために使用される.

初めての学会発表

2年間の集大成

著者: 中祖直之

ページ範囲:P.820 - P.822

 第48回日本理学療法学術大会は中日ドラゴンズの本拠地,みそかつや手羽先でも有名な愛知県名古屋市で開催されました.5月下旬にもかかわらず,大会中時折30℃を超える暑さのなか,それに負けない熱気が名古屋国際会議場にはあったと思います.今回その大会で初めて学会発表を行い(図1),私が経験した爽快感と達成感,またそのいきさつを報告します(図2).

甃のうへ・第6回

いしの上にも30年―これからの「充実期」に向けて

著者: 清宮清美

ページ範囲:P.824 - P.824

 国際連合は,障害者の権利宣言を社会において実現するため「完全参加と平等」をテーマに1981年を「国際障害者年」とした.その翌年,私は県立のリハビリテーションセンターに就職した.現在,理学療法士歴31年目というところである.これまでの30年を10年ごとに振り返ってみたい.

 最初の10年間は「修得期」とも言うべき期間であった.先輩たちに囲まれて臨床経験を積み,人並みに恋愛をして結婚,出産と続いた.その当時は,代替職員を望むことは困難だったので,育児休暇を取ることはできなかったが,周囲の励ましを受けて臨床を続けることにした.まだ若かった私は,理学療法士としての自分を認めてほしいという気持ちで仕事に向かっていたので,危ういことはありながらも何とか両立できていた.

学会印象記

―第48回日本理学療法学術大会―求められるグローバル・スタンダードな理学療法士像

著者: 松田雅弘

ページ範囲:P.826 - P.828

はじめに

 新緑薫るという時期が過ぎ,急激な気温上昇とともに夏の気配を強く感じ,今年も暑い夏を予感するなか,2013年5月24日から26日までの3日間にわたり第48回日本理学療法学術大会が開催されました.気候だけではなく,理学療法士にとっても熱い夏を予感させられる気持ちと,本大会での新たな知見・出会いや,盟友との語らいを楽しみに,大会前日に名古屋へ向かいました.

 本大会のテーマは「グローバル・スタンダード」.理学療法士10万人時代に突入し,理学療法の世界標準・基準を今一度明確にし,効果のある理学療法を再認識しようという潮流なのではないでしょうか.2011年に理学療法の対象である16の疾患と領域について,『理学療法診療ガイドライン第1版』が完成し,会員に提供されました.現在このガイドラインが,多くの科学的な根拠に基づいた本邦における理学療法のグローバル・スタンダードです.理学療法士がこのガイドラインを参考にして取り組んでいくことが必要不可欠であることを感じずにはいられない大会のスタートとなりました.

入門講座 食する・1【新連載】

「食する」とは―栄養学的な視点

著者: 五味郁子

ページ範囲:P.829 - P.836

はじめに

 人間は,生まれたときから死ぬときまで,食品に含まれる栄養素を絶えず摂取し続けています.中年期から高齢期にかけては,長年の食生活の結果が健康状態として現れてきます.メタボリックシンドロームが動脈硬化を促進して脳血管疾患を発症したり,痩せや筋肉量の低下がロコモティブシンドロームに進展し,この結果,要介護状態になる人は,年々増加する傾向にあります.

 栄養状態は動的な現象で,栄養摂取量と要求量(必要量あるいは消費量)のバランスに応じて常に変動があります.何らかの理由によって栄養摂取量が減ったり,要求量が高まって摂取量が不十分になることがあります.この負のバランスが持続すると,栄養状態が低下し,低栄養が起こります(図1).

 要介護高齢者や入院患者では,低栄養のリスクが高くなります.栄養や食事の問題は,多職種の理解と協働的アプローチが必要です.「食する」の第1回である本稿では,低栄養について解説します.

講座 理学療法診療ガイドライン・6

地域理学療法の診療ガイドライン

著者: 金谷さとみ

ページ範囲:P.837 - P.845

はじめに

 近年,超高齢社会の到来も相まって,疾病予防について,個人レベルのみならず,公衆衛生学的に社会水準で検討することが重視され,要介護状態になる原因疾患が死亡の原因とは異なることも明らかになり,疾患ではみえてこない「生活」を長期的にとらえる研究が盛んに行われるようになった.理学療法は疾患治療だけでなく,後遺症による障害,そして地域生活にもかかわる必要がある.そのため,地域生活に焦点をあてた地域理学療法のガイドラインを作成することの意義は大きい.

 理学療法診療ガイドラインには虚弱高齢者の項目がすでにあり,他の疾患別のガイドラインにも「在宅」に関する項目がある.地域理学療法ガイドラインの作成について依頼があった際,どこを基点にどのようにまとめればよいか,理学療法士に何をガイドすればよいのか,初めはこの部分に非常に時間を費やした経緯がある.このガイドラインでは,疾患別のガイドラインとは異なり,地域のあらゆる場面で,理学療法士の活動をいっそう効果的にするものを集約することとした.対象は高齢者とし,一般高齢者から要介護状態の高齢者までの幅広い対象に,地域理学療法提供の手がかりとなるものを選定した.参考としたガイドライン,引用したデータベースは表1に挙げる.また,評価の推奨グレードおよび介入の推奨グレードとエビデンスレベルを表2に記載した.

臨床実習サブノート 理学療法をもっと深めよう・6

脊髄損傷患者の疼痛を理解する

著者: 山本晋史

ページ範囲:P.847 - P.851

 脊髄損傷患者は,麻痺のみならず難治性異常疼痛にも苦しんでいることが少なくない.麻痺はやがて受容できる場合もあるが,痛みを受容することはきわめて難しい.また,この痛みは「感覚が麻痺している」ことだけでなく,患者によって痛みの訴えに差があることによりなかなか周囲の理解が得られない場合がある.「麻痺しているのだから痛くないはず」「気の持ちよう」と思われがちである.

 もとより痛みや異常感覚は主観的なものである.本人が語る言葉でしか伝えられず,語る言葉には限界がある.目にみえる苦しみではなく,致死的なものでもないため,日常のなかで他者から重視されずに忘れ去られることさえある.そうしたなかで脊髄損傷患者は,痛みとつきあう工夫,医療とのかかわり,生きる意味を問い続けるさまざまな日常を積み重ねている1)

理学療法臨床のコツ・40

新人・若手スタッフのやる気を引き出すコツ

著者: 荒木茂

ページ範囲:P.852 - P.853

はじめに

 毎年約1万人の理学療法士が誕生し,やる気に燃えて就職する.最初の数年は学会,講習会等に参加し勉強するが,3~5年ほどするとだんだん参加意欲がなくなる人が多い.一方では,いつも刺激を求めていろいろな講習会に参加し熱心に勉強している人たちもいる.理学療法士の数の増加とともに理学療法士の質の格差がはっきりとしてきた.理学療法士免許は必ずしも理学療法士の質を保証するものではなくなってきた.しかし今のところ勉強しなくても淘汰される明らかな仕組みはない.

 最初は情熱に燃えて就職してくる若い人たちのやる気を維持し,さらにはやる気を失った人たちを再び活性化させるにはどうしたらよいのだろうか.

書評

―中村耕三(監訳)/M. Llusá, À. Merí, D. Ruano(スペイン語版著者)/Miguel Cabanela, Sergio A. Mendoza, Joaquin Sanchez-Sotelo(英語版訳者)―「運動器臨床解剖アトラス」

著者: 吉川秀樹

ページ範囲:P.809 - P.809

 このたび,『運動器臨床解剖アトラス』が翻訳出版された.原著は,スペインの3名の著者によるもので,その内容が米国整形外科学会(American Academy of Orthopaedic Surgeons:AAOS)で高く評価され,米国の翻訳者により,まず英語版“Surgical Atlas of the Musculoskeletal System”として2008年に出版された.本書は,その英語版から,中村耕三先生が中心になって翻訳された待望の日本語版である.

 本書を閲覧して,まず想起したことは,同じ解剖学書で,ドイツの医師クルムスの著書“Anatomische Tabellen”(解剖図譜,ターヘル・アナトミア)が,まずオランダの医師ディクテンによってオランダ語に翻訳され,その後,オランダ語に造詣の深い前野良沢が,杉田玄白,中川淳庵らとともに日本語に翻訳し,『解体新書』が完成した経緯である.時代は異なっても,名著は言語の壁を超えて世界中に普及することが再認識され大変感慨深い.

―奈良 勲(シリーズ監修)/吉尾雅春,小柳磨毅(編)―「《標準理学療法学 専門分野》骨関節理学療法学」

著者: 林典雄

ページ範囲:P.825 - P.825

 標準理学療法シリーズの一環として,『骨関節理学療法学』が刊行されたことにまず敬意を表したい.

 整形外科とは,四肢,脊柱にかかわる疾病,変形,外傷を扱う診療科であり,そのリハビリテーションを担う理学療法領域が,骨関節理学療法である.整形外科の中では,肩関節,肘関節,手,股関節,膝関節,足関節,脊椎すべてに学会があり,四肢,脊柱にかかわる各種病態に関する知見,評価,治療は常にマイナーチェンジを続けながら進歩している.当然のことながら,骨関節理学療法に携わるセラピストも,整形外科学の進歩に強いアンテナを張りつつ,自ら行う理学療法を理論的かつ再現性のある技術となるべく,常に探求し続けながら診療に当たる必要がある.

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.807 - P.807

文献抄録

ページ範囲:P.854 - P.855

編集後記

著者: 金谷さとみ

ページ範囲:P.858 - P.858

 さわやかな春とみのりの秋を待ち遠しく思う期間ばかりが長く,春秋が到来するとあっという間に過ぎてしまう,それが日本の春夏秋冬です.待ち遠しい秋がやってきました.

 最近,病院では(医療費の削減のため)早期退院が当たり前になり,明らかに在宅に力点が移りました.一方,在宅では高齢者の独居世帯,夫婦二人暮らしが増え,要介護になると在宅で暮らすことが難しくなっています.これらの明らかに相反する二つの現象は,その狭間にある「退院」という場所で右往左往しています.その解決策となるキーワードが「連携」ですが,根本的な問題は残ります.そもそも,自宅で暮らせなくなる人は確かに存在し,圧倒的に行き場が足りなくなっているのです.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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