文献詳細
文献概要
特集 在宅理学療法の可能性を探る
運動器疾患における在宅理学療法の可能性
著者: 藤本義道1
所属機関: 1佐藤病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.787 - P.795
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在宅において,いわゆる機能練習ばかり提供していないだろうか? 在宅医療にかかわりはじめて早15年,常に頭の隅に置いている言葉である.理学療法養成校の面接試験で安易に「人の役に立ちたい」と述べていた自分を恥じている.あっという間の歳月ではあったが,これまでさまざまな人間模様とともに多くの問題に直面し,時にはこの仕事のやりがいに突っ走り,また時には自分の無力さに失望した.思えば“やる気”だけでは行えない,非常にシビアでとても大切な仕事であると考えている.
本稿で私に与えられたテーマは「運動器疾患における在宅理学療法の可能性」である.しかし在宅医療では,病院内のように運動器・中枢・内部疾患と個別で対応することはまず考えられず,すべてを包括したリハビリテーションサービスとして提供していることを前提として述べる.ターゲットは「疾患」ではなく,「生活」リハビリテーションである.「完全なる在宅リハビリマニュアル」はまず存在し得ないが,医療・福祉・介護分野でのよりよいリハビリテーションサービス追求のため,現場の経験から得てきたポイントを中心に紹介する.何らかのヒントになれば幸いである.
在宅において,いわゆる機能練習ばかり提供していないだろうか? 在宅医療にかかわりはじめて早15年,常に頭の隅に置いている言葉である.理学療法養成校の面接試験で安易に「人の役に立ちたい」と述べていた自分を恥じている.あっという間の歳月ではあったが,これまでさまざまな人間模様とともに多くの問題に直面し,時にはこの仕事のやりがいに突っ走り,また時には自分の無力さに失望した.思えば“やる気”だけでは行えない,非常にシビアでとても大切な仕事であると考えている.
本稿で私に与えられたテーマは「運動器疾患における在宅理学療法の可能性」である.しかし在宅医療では,病院内のように運動器・中枢・内部疾患と個別で対応することはまず考えられず,すべてを包括したリハビリテーションサービスとして提供していることを前提として述べる.ターゲットは「疾患」ではなく,「生活」リハビリテーションである.「完全なる在宅リハビリマニュアル」はまず存在し得ないが,医療・福祉・介護分野でのよりよいリハビリテーションサービス追求のため,現場の経験から得てきたポイントを中心に紹介する.何らかのヒントになれば幸いである.
参考文献
1)吉良健司(編):はじめての訪問リハビリテーション,医学書院,2007
2)全国訪問リハビリテーション研究会(編):訪問リハビリテーション実践テキスト,青海社,2009
3)全国訪問リハビリテーション研究会(編):訪問リハビリテーション実践事例ファイル,青海社,2012
4)石黒友康,他(監):在宅・訪問リハビリテーション リスク管理実践テキスト―ホスピタリティに基づく医療サービス,改訂版第2版,ヌンク,2012
5)福井圀彦(監),前田真治(著):老人のリハビリテーション,第7版,医学書院,2008
6)日本理学療法士協会:災害時の理学療法マニュアル,公益社団法人日本理学療法士協会,2011
7)鶴見隆正,他(編):《標準理学療法学 専門分野》日常生活活動学・生活環境学,第4版,医学書院,2012
8)岡村英樹:OT・PT・ケアマネにおくる 建築知識なんかなくても住宅改修を成功させる本,三輪書店,2007
9)野村 歡,他:OT・PTのための住環境整備,第2版,三輪書店,2012
10)松葉貴司:理学療法臨床のコツ 住宅改修アドバイスのコツ―トイレ.PTジャーナル45:50-52,2011
11)露木昭彰:訪問理学療法の基本―連携と管理.PTジャーナル45:345-350,2011
12)池ノ上寛太:リハビリの結果と責任―絶望につぐ絶望,そして再生へ,三輪書店,2009
13)乙武洋匡:自分を愛する力,講談社現代新書,2013
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