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入門講座 食する・1【新連載】
「食する」とは―栄養学的な視点
著者: 五味郁子1
所属機関: 1神奈川県立保健福祉大学栄養学科
ページ範囲:P.829 - P.836
文献購入ページに移動人間は,生まれたときから死ぬときまで,食品に含まれる栄養素を絶えず摂取し続けています.中年期から高齢期にかけては,長年の食生活の結果が健康状態として現れてきます.メタボリックシンドロームが動脈硬化を促進して脳血管疾患を発症したり,痩せや筋肉量の低下がロコモティブシンドロームに進展し,この結果,要介護状態になる人は,年々増加する傾向にあります.
栄養状態は動的な現象で,栄養摂取量と要求量(必要量あるいは消費量)のバランスに応じて常に変動があります.何らかの理由によって栄養摂取量が減ったり,要求量が高まって摂取量が不十分になることがあります.この負のバランスが持続すると,栄養状態が低下し,低栄養が起こります(図1).
要介護高齢者や入院患者では,低栄養のリスクが高くなります.栄養や食事の問題は,多職種の理解と協働的アプローチが必要です.「食する」の第1回である本稿では,低栄養について解説します.
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