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臨床実習サブノート 理学療法をもっと深めよう・6
脊髄損傷患者の疼痛を理解する
著者: 山本晋史1
所属機関: 1群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部理学療法室
ページ範囲:P.847 - P.851
文献購入ページに移動 脊髄損傷患者は,麻痺のみならず難治性異常疼痛にも苦しんでいることが少なくない.麻痺はやがて受容できる場合もあるが,痛みを受容することはきわめて難しい.また,この痛みは「感覚が麻痺している」ことだけでなく,患者によって痛みの訴えに差があることによりなかなか周囲の理解が得られない場合がある.「麻痺しているのだから痛くないはず」「気の持ちよう」と思われがちである.
もとより痛みや異常感覚は主観的なものである.本人が語る言葉でしか伝えられず,語る言葉には限界がある.目にみえる苦しみではなく,致死的なものでもないため,日常のなかで他者から重視されずに忘れ去られることさえある.そうしたなかで脊髄損傷患者は,痛みとつきあう工夫,医療とのかかわり,生きる意味を問い続けるさまざまな日常を積み重ねている1).
もとより痛みや異常感覚は主観的なものである.本人が語る言葉でしか伝えられず,語る言葉には限界がある.目にみえる苦しみではなく,致死的なものでもないため,日常のなかで他者から重視されずに忘れ去られることさえある.そうしたなかで脊髄損傷患者は,痛みとつきあう工夫,医療とのかかわり,生きる意味を問い続けるさまざまな日常を積み重ねている1).
参考文献
1)脊損痛研究会:痛みと麻痺を生きる―脊椎損傷と痛み,pp27-45,日本評論社,2006
2)Siddall PJ, et al:Taxonomy and epidemiology of spinal cord injury pain. in Yezierski RP, et al(eds):Spinal Cord Injury Pain:Assessment Mechanisms, Management. Progress in Pain Research and Management, Vol. 23, pp9-24, IASP Press, Seattle, 2002
3)Siddall PJ:Management of neuropathic pain following spinal cord injury:now and in the future. Spinal Cord 47:352-359, 2009
4)松永俊樹,他:痛み,しびれをきたす疾患―脊髄損傷後疼痛脊髄損傷後疼痛.脊椎脊髄24:463-466,2011
5)柴田政彦,他:臨床から考える慢性疼痛の病態及び診断―神経因性疼痛.医学のあゆみ203:43-47,2002
6)Siddall PJ, et al:Pain report and the relationship of pain to physical factors in the first 6 months following spinal cord injury. Pain 81:187-197, 1999
7)栗田英明,他:不全型脊髄損傷に伴う痛み・異常感覚と理学療法.PTジャーナル43:213-220,2009
8)Siddall PJ,他:脊髄損傷後の神経障害痛の治療―現在と未来.日本ペインクリニック学会誌17:125-133,2010
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