文献詳細
文献概要
特集 バランスupdate―実用的な動作・活動の獲得のために
脳卒中患者におけるバランス障害と理学療法
著者: 澤田明彦1
所属機関: 1七沢リハビリテーション病院脳血管センター
ページ範囲:P.5 - P.14
文献購入ページに移動はじめに
脳卒中患者のバランス障害は,意識水準の変容・運動麻痺・筋力低下・感覚障害・認知障害・筋緊張調節異常・狭義の平衡障害・運動器の二次的変化・加齢に伴う運動の拙劣さなどが,程度の差はあれ複合的に組み合わされて構成される.この複雑さは,脳卒中患者のバランス障害の理解を妨げるとともに,対応の難しさを生む.
運動学習の視点からではあるが,大橋1)は課題指向型アプローチの介入モデルとして,機能・構造―戦略―遂行能力の階層構造を想定した.また,各階層における評価内容として,機能・構造レベルでは“何が使えるか”,戦略レベルでは“どのように使うか”,遂行能力レベルでは“最終的な到達レベル”を挙げた.このような階層構造を想定した考え方は,バランスの面でも参考にできる.
バランスに関する概念は多様であるが,本稿ではバランスを姿勢調節の結果ととらえ,姿勢調節の手段を姿勢戦略,姿勢調節のための機能を身体資源と仮定し論じる.
脳卒中患者のバランス障害は,意識水準の変容・運動麻痺・筋力低下・感覚障害・認知障害・筋緊張調節異常・狭義の平衡障害・運動器の二次的変化・加齢に伴う運動の拙劣さなどが,程度の差はあれ複合的に組み合わされて構成される.この複雑さは,脳卒中患者のバランス障害の理解を妨げるとともに,対応の難しさを生む.
運動学習の視点からではあるが,大橋1)は課題指向型アプローチの介入モデルとして,機能・構造―戦略―遂行能力の階層構造を想定した.また,各階層における評価内容として,機能・構造レベルでは“何が使えるか”,戦略レベルでは“どのように使うか”,遂行能力レベルでは“最終的な到達レベル”を挙げた.このような階層構造を想定した考え方は,バランスの面でも参考にできる.
バランスに関する概念は多様であるが,本稿ではバランスを姿勢調節の結果ととらえ,姿勢調節の手段を姿勢戦略,姿勢調節のための機能を身体資源と仮定し論じる.
参考文献
1)大橋ゆかり:評価に基づいた理学療法―基礎「運動学習」.理学療法学36:223-225,2009
2)山下勝幸:神経科学の素朴な疑問―Wernicke-Mann肢位が錐体路障害でおきるのはなぜか? Clin Neurosci 27:705,2009
3)澤田明彦:脳卒中片麻痺患者の理学療法におけるアセスメントと治療―体幹機能を中心に.理学療法―技術と研究26:1-10,1999
4)Viel E:神経筋障害の治療におけるPNF(2)―技法の実際的応用 その概要.理・作・療法6:283-287,1972
5)Ducroquet RJ, et al(著),鈴木良平(訳):歩行と跛行―正常および病的歩行の研究,医歯薬出版,1973
6)澤田明彦:脳血管障害の理学療法におけるクリニカル・リーズニング.理学療法―技術と研究39:5-9,2011
7)澤田明彦:座位から立位へ.長澤弘(編):脳卒中・片麻痺理学療法マニュアル,文光堂,pp277-292,2007
8)澤田明彦:ベッドと車椅子との移乗練習.長澤弘(編):脳卒中・片麻痺理学療法マニュアル,文光堂,pp265-276,2007
9)澤田明彦:立位から歩行へ.長澤弘(編):脳卒中・片麻痺理学療法マニュアル,文光堂,pp293-309,2007
掲載誌情報