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特集 バランスupdate―実用的な動作・活動の獲得のために
高齢者におけるバランス障害と理学療法
著者: 大羽明美1 百瀬公人2 齋門良紀1 伊橋光二3
所属機関: 1安曇総合病院リハビリテーション科 2信州大学医学部保健学科理学療法学専攻 3山形県立保健医療大学理学療法学科
ページ範囲:P.33 - P.39
文献購入ページに移動わが国では高齢化が進んでおり,当院リハビリテーション科に処方される症例についても同様である.2004年度から発行している当院の年報によると,2004年当時,リハビリテーション科の処方件数は70歳台が最多であったが,2011年度には80歳台が追い越している.また,転帰先は自宅が79%から70%へと減少傾向にあり,逆に死亡率が増加傾向にある.つまり理学療法の対象者は,加齢に伴い死亡のリスクが高まることを示している.
高齢者の特徴は,バランスや下肢筋力を中心とした運動機能の低下,呼吸・循環・代謝など生理機能の低下1),認知機能の低下が挙げられ,これらの特徴が故に,高齢者は廃用も加速する.バランス障害による転倒後の骨折や疼痛は廃用症候群の一因になり,高齢者のADLの自立を大きく阻害する.したがって,骨折等の受傷後の高齢者に対しては,早期より積極的な理学療法を展開し,移乗や歩行などを自立させることで,廃用を防ぐことが不可欠である.しかし,高齢者においては十分な介入をしても受傷前のADL獲得が困難である場合も多く,より転倒予防に配慮した理学療法を実施しなければならない.
そこで本稿では,転倒予防の視点から高齢者のバランス障害をとらえ,理学療法プログラム,リスク,歩行補助具についての現在の知見を,臨床上の若干の私見を加えて概説する.
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