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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻10号

2014年10月発行

文献概要

特集 安全管理

理学療法におけるコンフリクト・マネジメント

著者: 三宮克彦1

所属機関: 1熊本機能病院総合リハビリテーション部

ページ範囲:P.935 - P.941

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はじめに

 コンフリクト(conflict)とは,衝突・葛藤・対立などと訳される.医療コンフリクトとは,医療現場で起こるさまざまなコンフリクトの総称である.医療者が患者のために尽くすことは当然のことだが,現実的には医療過誤が起こる場合も少なくない.尽力された結果の過誤であっても,患者にとっては受け入れ難い現実である.また,時として患者との価値観の相違から,問題ないと思われる事象においてもコンフリクトは起こり得る.医療コンフリクトは,医療過誤に対する裁判事例に発展する重篤なもの,患者・家族からの苦情,さらには患者を取り巻くスタッフ同士の意見の相違が過剰となり対立関係に発展し,医療者の意に反して患者に不利益を与えるようなことも含む.

 本稿では,医療コンフリクト・マネジメントの基本的な考え方を解説し,この数年で筆者が経験した事実をもとに,差しさわりがない程度に修正したタイプの異なる事例を紹介したい.なお,提示した例に関して,比較的良好に対応できたものもあれば,そうでないものもある.どの事例に関しても結果論として後方視的にみた場合,最良の対応とは言い難い.ネガティブに捉えがちな医療コンフリクトだが,過去の事例から学ぶことは多く,医療安全対策と同じように一つひとつの事例からの学びを事後に生かしていくことが最大のコンフリクト・マネジメントと考える.他山の石として活用していただければ幸いである.

参考文献

1)和田仁孝:コンフリクト・マネジメント研究と医療.医療コンフリクト・マネジメント1:1〜12,2013
2)和田仁孝,他:医療メディエーション—コンフリクト・マネジメントへのナラティヴ・アプローチ,シーニュ,2012
3)和田仁孝:医療メディエーション—対話による関係構築.回復期リハビリテーション12:32-35,2013
4)長谷川剛:医療安全推進のための3つの問題軸.医療の質・安全学会誌2:173-175,2007
5)種田憲一郎:なぜチームトレーニングが必要か—チームSTEPPSの開発と普及.Medical Forum CHUGAI 16:1〜12,2012
6)安藤哲朗:明日から役立つ医療安全—神経内科診療に役立つメディエーションモデル.臨床神経51:827〜829,2011
7)和田仁孝:医療メディエーターの現況と要望.厚生労働省:医療ビジョン具体化作業委員会資料,2008
8)村上紀美子(編):患者の目線—医療関係者が患者・家族になってわかったこと,医学書院,2014
9)大江和郎,他:他院の対処法を知り,経験を積むことが肝要.日本医事新報4648:6-10,2013
10)大江和郎:医師と患者の診療は契約である.日本医事新報4701:16-19,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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