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特集 安全管理
理学療法におけるコンフリクト・マネジメント
著者: 三宮克彦1
所属機関: 1熊本機能病院総合リハビリテーション部
ページ範囲:P.935 - P.941
文献購入ページに移動コンフリクト(conflict)とは,衝突・葛藤・対立などと訳される.医療コンフリクトとは,医療現場で起こるさまざまなコンフリクトの総称である.医療者が患者のために尽くすことは当然のことだが,現実的には医療過誤が起こる場合も少なくない.尽力された結果の過誤であっても,患者にとっては受け入れ難い現実である.また,時として患者との価値観の相違から,問題ないと思われる事象においてもコンフリクトは起こり得る.医療コンフリクトは,医療過誤に対する裁判事例に発展する重篤なもの,患者・家族からの苦情,さらには患者を取り巻くスタッフ同士の意見の相違が過剰となり対立関係に発展し,医療者の意に反して患者に不利益を与えるようなことも含む.
本稿では,医療コンフリクト・マネジメントの基本的な考え方を解説し,この数年で筆者が経験した事実をもとに,差しさわりがない程度に修正したタイプの異なる事例を紹介したい.なお,提示した例に関して,比較的良好に対応できたものもあれば,そうでないものもある.どの事例に関しても結果論として後方視的にみた場合,最良の対応とは言い難い.ネガティブに捉えがちな医療コンフリクトだが,過去の事例から学ぶことは多く,医療安全対策と同じように一つひとつの事例からの学びを事後に生かしていくことが最大のコンフリクト・マネジメントと考える.他山の石として活用していただければ幸いである.
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