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文献概要
臨床実習サブノート 臨床実習における私の工夫・7
片麻痺症例の評価—私ならこうする
著者: 佐藤房郎1
所属機関: 1東北大学病院
ページ範囲:P.981 - P.988
文献購入ページに移動評価で得られた情報を有機的に利用するために
臨床実習における評価では,しばしばボトムアップかトップダウンかが議論される.とりわけ中枢神経疾患においては,全体像を捉えてから要素的に分析を進めるトップダウン方式を推奨する指導者の話を耳にする.しかしながら,経験の浅い理学療法士にとって,トップダウンの情報処理は見落としが起こりやすく,固定観念(思い込み)で臨床推論が展開される危険性を含んでいる.筆者も臨床実習指導者になりたてのころは,トップダウン方式の実習指導にこだわった経験がある.
現在は,情報処理の方式を問題にするのではなく,評価で得られた情報をどう生かすかを重視すべきと考えている.すなわち,他の情報と関連づけて,患者の置かれている状況を理解することである.学生の症例発表でいつも思うのは,「重要な情報が何か」が曖昧になっていること,姿勢や動作分析の情報が紙面の多くを占めているが統合解釈や治療に反映されていないことなどである.そこで本稿では,平面的になりやすい情報収集を有機的に結びつけるための評価の進め方と,筆者が意識している臨床推論の視点について述べてみたい.
臨床実習における評価では,しばしばボトムアップかトップダウンかが議論される.とりわけ中枢神経疾患においては,全体像を捉えてから要素的に分析を進めるトップダウン方式を推奨する指導者の話を耳にする.しかしながら,経験の浅い理学療法士にとって,トップダウンの情報処理は見落としが起こりやすく,固定観念(思い込み)で臨床推論が展開される危険性を含んでいる.筆者も臨床実習指導者になりたてのころは,トップダウン方式の実習指導にこだわった経験がある.
現在は,情報処理の方式を問題にするのではなく,評価で得られた情報をどう生かすかを重視すべきと考えている.すなわち,他の情報と関連づけて,患者の置かれている状況を理解することである.学生の症例発表でいつも思うのは,「重要な情報が何か」が曖昧になっていること,姿勢や動作分析の情報が紙面の多くを占めているが統合解釈や治療に反映されていないことなどである.そこで本稿では,平面的になりやすい情報収集を有機的に結びつけるための評価の進め方と,筆者が意識している臨床推論の視点について述べてみたい.
参考文献
1)佐藤房郎:脳卒中理学療法のクリニカルリーズニング—その特徴と共通性.PTジャーナル46:477-485,2012
2)O'Sullivan SB,他(編),相川英三(総監訳):リハビリテーション—評価と治療計画.pp1-18,西村書店,2014
3)内山 靖:エビデンスに基づく理学療法—活用と臨床思考過程の実際.pp1-16,医歯薬出版,2008
4)潮見泰藏:脳卒中に対する標準的理学療法介入—何を考え,どう進めるか? pp2-10,文光堂,2007
5)Shumway-Cook A,他(著),田中 繁,他(監訳):モーターコントロール—運動制御の理論と臨床応用.pp117-141,医歯薬出版,1999
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