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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻10号

2014年10月発行

文献概要

短報

大腿骨近位部骨折例における骨折型が下肢筋力回復に及ぼす影響

著者: 川端悠士1 澄川泰弘1 林真美1 藤森里美1 小原成美1

所属機関: 1JA山口厚生連周東総合病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.996 - P.999

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要旨:[目的]骨折型の相違が大腿骨近位部骨折例における下肢筋力回復に及ぼす影響を明らかにすること.[方法]大腿骨近位部骨折術後例93例のうち,認知症を有する14例,中枢神経疾患および運動器疾患の既往を有する25例を除く54例(年齢81.7±7.8歳,術後経過日数49.6±17.6日)を対象とした.54例を大腿骨頸部骨折(neck fracture:NF)群23例と,大腿骨転子部骨折(trochanteric fracture:TF)群31例に分類し,退院時の非手術側・手術側股外転筋力,非手術側・手術側膝伸展筋力,手術側股外転筋力対非手術側比,手術側膝伸展筋力対非手術側比を比較した.[結果]非手術側・手術側股外転筋力,非手術側膝伸展筋力,手術側股外転筋力対非手術側比についてはNF群・TF群間で有意差を認めなかった.手術側膝伸展筋力はTF群でNF群に比較して低い傾向にあり(p=0.11),手術側膝伸展筋力対非手術側比についてはTF群でNF群に比較して有意に低値を示した(p<0.01).[考察]TF群はNF群に比較して膝伸展筋力の回復が遅延することが示唆された.

参考文献

1)Handoll HH, et al:Mobilization strategies after hip fracture surgery in adults. Cochrane Database Syst Rev 24:CD001704, 2007
2)河原郁生,他:高齢者大腿骨近位部骨折は骨折型で術後自立度は変わるのか? 奈良県内の多施設調査.骨折30:685-688,2008
3)藤村宜史,他:大腿骨近位部骨折地域連携パスにおける在院日数バリアンスの検討.理学療法学36:1-8,2009
4)Katoh M, et al:Reliability of isometric knee extension muscle strength measurement using a hand-held dynamometer with a belt. J Phys Ther Sci 22:359-363, 2010
5)山崎裕司,他:ハンドヘルドダイナモメーターによる等尺性股関節外転筋力の測定.高知リハビリテーション学院紀要10:61-66,2009
6)山田 晋,他:整形外科術後理学療法プログラム,第1版.pp123-162,メジカルビュー社,2009
7)田中 創:[実践MOOK・理学療法プラクティス]大腿骨頸部骨折—何を考え,どう対処するか,第1版.pp174-183,文光堂,2009
8)小川寛恭,他:高齢者頸部(転子部)骨折後の筋萎縮・移動能力・骨折型・術式の相関関係についての検討.中部整災誌50:47-48,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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