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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻2号

2014年02月発行

文献概要

特集 発達障害児の理学療法と生活指導

発達障害児の整形外科手術後の理学療法と生活指導

著者: 楠本泰士1

所属機関: 1東京工科大学医療保健学部理学療法学科

ページ範囲:P.111 - P.117

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はじめに

 発達障害児に対する整形外科術後の身体機能の改善は,粗大運動機能の改善や歩行パラメーターの向上,上肢機能の改善など多く報告されている1~3).われわれが経験している術後の身体機能変化は,手術による効果と術後リハビリテーションによる効果が合わさったものであり,それぞれの効果を明確に分けることはできない.

 脳性麻痺に対する手術では,障害の程度や機能レベルが異なるため,各症例に合わせて手術内容も異なり,術後の回復過程もさまざまな様態を示す.また,同様の運動レベルの患者であっても筋の痙性や関節可動域制限の程度が異なるため,同部位で同じ筋を侵襲していても筋の延長量が症例ごとに異なることもある4).このように,一定の運動レベルで同様の手術を施行した症例を集めることが困難なため,発達障害児に対する術後リハビリテーションの効果を検討した報告は限りなく少ない.しかし,手術の目的を整理し理解することで,手術の効果や限界を知ることができる.それにより,術後リハビリテーションの効果をとらえやすくなり,退院後の生活指導につなげることができると考えている.

 本稿では,整形外科手術の概念と目的を概説し,脳性麻痺患者に多く行われている股関節筋解離術と,脳性麻痺患者の二次障害で最も問題となる頸髄症に対して行われている頸部筋解離術,それらの術後理学療法について紹介する.

参考文献

1)Kondo I, et al:Effectiveness of selective musclerelease surgery for children with cerebral palsy:longitudinal and stratified analysis. Dev Med Child Neurol 46:540-547, 2004
2)金 承革,他:脳性麻痺児の歩行分析―痙縮筋に対する筋切離術の効果.バイオメカニズム学術講演会予稿集26:91-94,2005
3)寺原幹雄,他:痙性麻痺の肩・肘に対する整形外科的選択的痙性コントロール手術.日小整会誌17:106-109,2008
4)池田啓一,他:痙縮に対する治療介入 痙性に対する整形外科的アプローチ―整形外科的選択的痙性コントロール手術.Jpn J Rehabil Med 46:176-185,2009
5)松尾 隆:脳性麻痺の整形外科的治療,pp147-173,創風社,1998
6)松尾 隆:整形外科的選択的痙性コントロール手術(OSSCS).臨床リハ17:1063-1071,2008
7)池田啓一,他:脳性麻痺児(下肢)に対する選択的筋解離術前後の機能変化.脳性麻痺の外科研究会誌14:49-53,2004
8)楠本泰士,他:アキレス腱延長術を施行した脳性麻痺の一症例.徒手理学療法12:21-26,2012
9)楠本泰士,他:歩行可能な脳性麻痺児における大腿直筋および内側ハムストリングス延長術後4週の関節トルク変化.日保学誌16:38-42,2013
10)森山明夫:成人脳性麻痺者の整形外科的問題―頸椎障害を中心に.臨床リハ9:449-454,2000
11)佐藤一望:脳性麻痺の二次障害.リハ医学38:775-783,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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