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特集 発達障害児の理学療法と生活指導
自閉症スペクトラム障害の理学療法と生活指導
著者: 鶴崎俊哉1
所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
ページ範囲:P.129 - P.136
文献購入ページに移動はじめに
本稿は当初,「広汎性発達障害児の理学療法と生活指導」というテーマで依頼を受けた.広汎性発達障害(pervasive developmental disorders:PDD)は,コミュニケーション能力や対人関係・社会性の獲得に問題を呈する疾患で,世界保健機関(World Health Organization:WHO)が定めた「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(第10版)」(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:ICD-10)と米国精神医学会が刊行した「精神疾患の分類と診断の手引(第4版新訂版)」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM-Ⅳ-TR)が診断基準として広く用いられている1).ICD-10とDSM-Ⅳ-TRでは下位項目や診断基準に違いがみられる(表1~3)が,わが国においては発達障害者支援法(2004年)および改正学校教育法(2006年)を受け,2007年の文部科学省による初等中等教育局特別支援教育課名の通達により特別支援教育の対象となったことから広く知られるようになっている(図1)2).
ところが,2013年に公表されたDSM-5(この版からはローマ数字からアラビア数字に変更されている)では,PDDが自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD)に変更されている3).しかも単なる名称の変更にとどまらず,その枠組みが大きく異なっている.変更の詳細は後述するが,今後改訂されるICD-11も筆者がベータ版を確認した限りでは同じ方向性を持っていると思われる.これらの診断基準の変更がわが国の行政にどのように反映されるかは現時点ではわからないが,現在が大きな転換点にあることを踏まえ,本稿のテーマを変更させていただいた.
本稿は当初,「広汎性発達障害児の理学療法と生活指導」というテーマで依頼を受けた.広汎性発達障害(pervasive developmental disorders:PDD)は,コミュニケーション能力や対人関係・社会性の獲得に問題を呈する疾患で,世界保健機関(World Health Organization:WHO)が定めた「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(第10版)」(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:ICD-10)と米国精神医学会が刊行した「精神疾患の分類と診断の手引(第4版新訂版)」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM-Ⅳ-TR)が診断基準として広く用いられている1).ICD-10とDSM-Ⅳ-TRでは下位項目や診断基準に違いがみられる(表1~3)が,わが国においては発達障害者支援法(2004年)および改正学校教育法(2006年)を受け,2007年の文部科学省による初等中等教育局特別支援教育課名の通達により特別支援教育の対象となったことから広く知られるようになっている(図1)2).
ところが,2013年に公表されたDSM-5(この版からはローマ数字からアラビア数字に変更されている)では,PDDが自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD)に変更されている3).しかも単なる名称の変更にとどまらず,その枠組みが大きく異なっている.変更の詳細は後述するが,今後改訂されるICD-11も筆者がベータ版を確認した限りでは同じ方向性を持っていると思われる.これらの診断基準の変更がわが国の行政にどのように反映されるかは現時点ではわからないが,現在が大きな転換点にあることを踏まえ,本稿のテーマを変更させていただいた.
参考文献
1)American Psychiatric Association(著),髙橋三郎,他(訳):DSM-Ⅳ-TR―精神疾患の分類と診断の手引,医学書院,2003
2)政府広報オンライン:理解する―発達障害って,なんだろう? http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/contents/rikai.html(2013年12月15日閲覧)
3)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM-5, American Psychiatric Publishing, Arlington, 2013
4)Wing L, et al:Severe impairments of social interaction and associated abnormalities in children:epidemiology and classification. J Autism Dev Disord 9:11-29, 1979
5)Downey R, et al:Motor activity in children with autism:A review of current literature. Pediatr Phys Ther 24, 2-20, 2012
6)瀬川昌也,他:神経回路の発達からみた育児と教育の臨界齢の研究,社会技術研究システム・公募型プログラム研究領域「脳科学と教育」研究実施終了報告書,2005 http://www.ristex.jp/result/brain/program/pdf/cri01.pdf(2013年12月15日閲覧)
7)綾屋沙月,熊谷晋一郎:発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい,医学書院,2008
8)綾屋沙月,熊谷晋一郎:つながりの作法―同じでもなく違うでもなく,NHK出版 生活人新書335,2010
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