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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻2号

2014年02月発行

文献概要

講座 低侵襲手術の今・2

低侵襲心臓手術と理学療法

著者: 木内竜太1 富田重之1 渡邊剛1

所属機関: 1金沢大学心肺・総合外科

ページ範囲:P.161 - P.165

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低侵襲心臓手術(minimally invasive cardiac surgery:MICS)

 一般に心臓手術は,胸骨正中切開という胸の中心を大きく縦に切り,その下の胸骨を全長にわたって縦切開して行われる(図1).このアプローチは良好な視野が得られ,確実な心臓の手術ができるという点で,数十年にわたり心臓手術のgolden standardとなっていた.しかしながら,胸骨正中切開法は,患者さんにとっては,術後の創部痛のため,排痰がうまくできず肺炎を併発したり,リハビリテーションが進まず社会復帰に時間を要したりする原因となる.また胸骨を切開することは,骨髄炎(あるいは縦隔炎)など命にかかわる重篤な合併症の危険が伴う.

 近年これに対して,患者さんへの侵襲を軽減するための低侵襲心臓手術(minimally invasive cardiac surgery:MICS)が導入され広く行われるようになってきた.MICSという手術の概念は,胸骨正中切開を行わず,小肋間開胸にて心臓手術を行うことである.MICSは術式別に大別すると,小さい左肋間開胸下に,人工心肺装置を用いず,心拍動下でバイパスを行うminimally invasive direct coronary artery bypass(MIDCAB)と,人工心肺装置を用いて,右小肋間開胸もしくは3~4個のポートを右肋間において完全内視鏡下に,弁膜症や心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)などの心内手術を行う2つに分けられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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