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文献概要
書評
―木村彰男(監修)/正門由久・大田哲生(編集)―「脳卒中上下肢痙縮Expertボツリヌス治療―私はこう治療している」
著者: 横田一彦1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.175 - P.175
文献購入ページに移動 2010年から始まった上下肢痙縮に対する保険適用により,ボツリヌス治療は痙縮に対する新たな治療法として定着しつつあります.脳卒中に対する治療としてマスコミに取り上げられることも多く,臨床の現場にいる療法士は患者さんから質問を受けることもあるかと思います.
本書は2009年の脳卒中ガイドラインで,痙縮の関節可動域制限に対しグレードAで使用が推奨されているボツリヌス治療について,臨床の現場で本治療を用いている多くの医師により著されています.治療の作用機序に関する解説は省かれていますが,総論として現状と課題についてまとめ,各論において上肢の治療,下肢の治療,上下肢同時治療の工夫,装具の併用,リハビリテーション,在宅患者の治療の各項を取り上げています.多くのことについてコンパクトに言及しつつも,各々の項には実に36もの症例が提示されており,治療の実際を通して,リハビリテーション医学において本治療がめざしているものが示されています.多くのリハビリテーション医が,その治療効果の検証と標準化への努力を行っていることが理解できます.適応を考えること,対象筋の選定,投与量,濃度など,職人技に近いことをいかに科学的に積み上げていくか,という姿勢は,リハビリテーション関連職種も大いに見習わなければならないことだと思います.
本書は2009年の脳卒中ガイドラインで,痙縮の関節可動域制限に対しグレードAで使用が推奨されているボツリヌス治療について,臨床の現場で本治療を用いている多くの医師により著されています.治療の作用機序に関する解説は省かれていますが,総論として現状と課題についてまとめ,各論において上肢の治療,下肢の治療,上下肢同時治療の工夫,装具の併用,リハビリテーション,在宅患者の治療の各項を取り上げています.多くのことについてコンパクトに言及しつつも,各々の項には実に36もの症例が提示されており,治療の実際を通して,リハビリテーション医学において本治療がめざしているものが示されています.多くのリハビリテーション医が,その治療効果の検証と標準化への努力を行っていることが理解できます.適応を考えること,対象筋の選定,投与量,濃度など,職人技に近いことをいかに科学的に積み上げていくか,という姿勢は,リハビリテーション関連職種も大いに見習わなければならないことだと思います.
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