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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻3号

2014年03月発行

文献概要

報告

姿勢安定度評価指標(IPS)による適切なバランス能力評価の臨床指標についての検討

著者: 鈴木康裕1 田邊裕基1 丸山剛1 塩見耕平1 船越香苗1 石川公久1 江口清2

所属機関: 1筑波大学附属病院リハビリテーション部 2筑波大学附属病院

ページ範囲:P.232 - P.236

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要旨:本研究の目的は,重心動揺検査によるバランス能力の評価において適切な臨床指標を検討することである.

 姿勢安定度評価指標(Index of Postural Stability:IPS)を検討の対象として,IPSを重心動揺計によって従来用いられてきた各指標(動揺面積,単位軌跡長,ロンベルグ率)と比較し,またIPSの適切な臨床指数として最小可検変化量(minimal detectable change:MDC)を求めた.

 対象は若年健常者101名(年齢:25.3±5.6歳,男性45名,女性56名)とした.各指標における2回の測定値間の変動率を比較した.またIPSにおける再現性の検討を系統誤差の観点から行うことでMDCを算出した.その結果,1-2回目の変動率についてはIPSの変動率が他の指標と比べ有意に少なく,またIPSにおいて系統誤差は認められず,MDCは0.26と算出された.

 これらのことから,重心動揺計を用いたバランス能力の評価において,IPSが系統誤差においても再現性に優れた指標であることが示唆され,また適切な臨床指数も示すことができた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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