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文献概要
特集 理学療法実践に役立つコミュニケーション技術
心身医療の視点からの面接技術
著者: 久保千春1
所属機関: 1九州大学病院
ページ範囲:P.283 - P.289
文献購入ページに移動心身医学はこころと身体の結びつき,すなわち心身相関について研究する医学であり,心身症を主な対象疾患としている.心身症は,日本心身医学会1)により「身体疾患の中で,その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し,器質的ないし機能的障害の認められる病態をいう.ただし,神経症やうつ病など他の精神障害にともなう身体症状は除外する」と定義されている.心身症は器質的疾患と機能的疾患の両方にまたがっており,心療内科では,主に内科領域の心身症,例えば過敏性腸症候群,胃・十二指腸潰瘍,気管支喘息,過換気症候群,緊張型頭痛,片頭痛,慢性疼痛,神経性食欲不振症,過食症,関節リウマチ,線維筋痛症,腰痛症,慢性蕁麻疹,アトピー性皮膚炎などを対象疾患としている.心理社会的な因子すなわちストレスは病気の発症に大きな影響を及ぼすことが明らかになってきている.
心身医療は医療の視点を臓器の病気に置くのではなく,患者を「病を持った人間」として捉え,身体的・心理的・社会的・実存的な面から統合的に理解し治療していく治療である.つまり,disease-oriented medicineではなくpatient-centered medicineであり,全人的医療でもある.心身医療の考え方は,心身症だけでなく,リハビリテーション,ターミナルケア,救急医療などにおいても重要である.
本稿では,最初にストレスと心身の反応やストレスの結果としてよくみられるうつ,不安,睡眠障害について述べ,そのあと心身医療の視点からの面接療法について述べる.
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