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特集 老年症候群と理学療法
老年症候群と高齢者医療
著者: 秋下雅弘1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科加齢医学
ページ範囲:P.377 - P.384
文献購入ページに移動はじめに
65歳以上の高齢者が総人口に占める割合,いわゆる高齢化率はついに24%を超え,超高齢社会の明確な定義はないものの,超高齢社会に突入したと考えてよいであろう.しかし,超高齢社会の抱える真の問題は高齢化率ではなく,75歳以上の後期高齢者の増加にある.図1に示すように,前期高齢者の人口は横ばい,さらには減少へ転じる一方で,後期高齢者は増え続け,2050年には全人口の4人に1人が後期高齢者という時代になる1).
その後期高齢者の半数は疾患を有し,30%は要介護状態にあるという状況は,今後数十年の医学・医療の進歩ではさほど改善しないと見込まれており,医療機関の多くが後期高齢者で占められることは避けられない.すでに全国の入院患者の半数近くは後期高齢者である.都市部の高齢化が今後顕著なことを考えると,大都市の基幹病院でも,今後は必然的に高齢者医療の波をかぶることになろう.このように,われわれが今後直面する高齢者医療は,元気に通院する前期高齢者ではなく,多くの疾患と老年症候群,日常生活障害を抱え,しばしば救急搬送される後期高齢者を主な対象としたものになると考えられる.本稿では,このような高齢者医療の中心軸である老年症候群について解説する.
65歳以上の高齢者が総人口に占める割合,いわゆる高齢化率はついに24%を超え,超高齢社会の明確な定義はないものの,超高齢社会に突入したと考えてよいであろう.しかし,超高齢社会の抱える真の問題は高齢化率ではなく,75歳以上の後期高齢者の増加にある.図1に示すように,前期高齢者の人口は横ばい,さらには減少へ転じる一方で,後期高齢者は増え続け,2050年には全人口の4人に1人が後期高齢者という時代になる1).
その後期高齢者の半数は疾患を有し,30%は要介護状態にあるという状況は,今後数十年の医学・医療の進歩ではさほど改善しないと見込まれており,医療機関の多くが後期高齢者で占められることは避けられない.すでに全国の入院患者の半数近くは後期高齢者である.都市部の高齢化が今後顕著なことを考えると,大都市の基幹病院でも,今後は必然的に高齢者医療の波をかぶることになろう.このように,われわれが今後直面する高齢者医療は,元気に通院する前期高齢者ではなく,多くの疾患と老年症候群,日常生活障害を抱え,しばしば救急搬送される後期高齢者を主な対象としたものになると考えられる.本稿では,このような高齢者医療の中心軸である老年症候群について解説する.
参考文献
1)内閣府:平成23年版 高齢社会白書 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2011/zenbun/23pdf_index.html(2014年3月10日閲覧)
2)鳥羽研二:施設介護の問題点.日老医誌34:981-986,1997
3)Kojima T, et al:Hig risk of adverse drug reactions in elderly patients taking sex or more drugs. Geriatr Gerontol Int 12:761-762, 2012
4)Kojima T, et al:Polypharmacy as a risk for fall occurrence in geriatric out patients. Geriatr Gerontol Int 12:425-430, 2012
5)Akishita M, et al. Priorities of health care outcomes for the elderly. J Am Med Dir Assoc 14:479-484, 2013
6)厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「高齢者に対する適切な医療提供に関する研究」研究班:高齢者に対する適切な医療提供の指針.日老医誌51:89-96,2014
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