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書評
―山口晴保(著)―「認知症予防(第2版)―読めば納得!脳を守るライフスタイルの秘訣」
著者: 池添冬芽1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻リハビリテーション科学コース理学療法学講座
ページ範囲:P.463 - P.463
文献購入ページに移動 「認知症を予防する手立てはない」と思っている方は一般の中高齢者のみならず専門職にも多いのではないだろうか? 認知症への関心の高まりとともに,近年,認知症に関する本が多く出版され,科学的根拠が不確かなことでもトピックスとして取り上げて「○○をすればボケない」と謳っている本も多くみられる.本書はそのような本とは一線を画し,質の高い科学研究で示された信頼性の高い根拠(エビデンス)に基づいて認知症の予防策を示している.もちろん,「これをすれば認知症にならない」という絶対的な方法はなく,あくまでも認知症の発症を遅らせるということが「認知症予防」であり,発症を遅らせて,その間に生き生きと余生を楽しんで天寿をまっとうすることが認知症予防の目標であることを説いている.
「エビデンスに基づいた」と言うと,一見,難解な本のように思うかもしれない.しかし,非常に専門的・学術的な内容が多く含まれているにもかかわらず,本書は平易な文章でわかりやすい例を示しながら書かれており,誰が読んでも理解しやすいように配慮されている.動物実験・疫学研究の両観点からエビデンスレベルの高い研究報告を紹介し,あるいはエビデンスレベルが高くない研究を引用している場合には「ただし,この研究の信頼性は高くない」と明示し,実に明快で説得力のある解説がされている.例えば,テレビや雑誌でも話題のテーマとして「カレーを食べることは(クルクミンを摂取することは)アルツハイマー型認知症を予防するか?」については,「複数の動物実験では有効性が示されているが,疫学研究では信頼性が高くない横断調査しかないので,推奨レベルはBランクである」というように,きちんとした根拠や確証をもって効果が期待できるものかどうかが示されている.
「エビデンスに基づいた」と言うと,一見,難解な本のように思うかもしれない.しかし,非常に専門的・学術的な内容が多く含まれているにもかかわらず,本書は平易な文章でわかりやすい例を示しながら書かれており,誰が読んでも理解しやすいように配慮されている.動物実験・疫学研究の両観点からエビデンスレベルの高い研究報告を紹介し,あるいはエビデンスレベルが高くない研究を引用している場合には「ただし,この研究の信頼性は高くない」と明示し,実に明快で説得力のある解説がされている.例えば,テレビや雑誌でも話題のテーマとして「カレーを食べることは(クルクミンを摂取することは)アルツハイマー型認知症を予防するか?」については,「複数の動物実験では有効性が示されているが,疫学研究では信頼性が高くない横断調査しかないので,推奨レベルはBランクである」というように,きちんとした根拠や確証をもって効果が期待できるものかどうかが示されている.
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