icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻6号

2014年06月発行

文献概要

特集 臨床実習教育の実態と展望

専門職集団からみた臨床実習教育の実態と展望

著者: 内山靖1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科理学療法学講座

ページ範囲:P.513 - P.515

文献購入ページに移動
はじめに

 教育を学習の視点から整理するには,「人が何を学ぶのか」を常に考える必要がある.

 人が何かを学ぶ際には,表1に示すように,学び手である学習者,学習の支援者,学習環境の各要素と3要素間の関係を検証する必要がある.また,何を学ぶのかは,何をいかに学ぶのかという学習の帰結と過程に関する,目的・目標と方法論を相互に検証する.

 本誌の特集では,これまで,何を学ぶのかについて,臨床実習の到達目標,成績評価,教育方法・指導論などが取り上げられてきた.また,学び手である学習者の総数や資質,臨床実習指導者に求められる能力,臨床実習時の学習環境,臨床実習を取り巻く社会環境等についてもそれぞれ切実な現状と期待が述べられてきた.

 よりよい臨床実習教育を模索するためには,相互の関係性を捉えることが不可欠である.端的に言えば,教育学的に効果が高いと考えられる指導方法があったとして,目の前にいる学習者にとって適用があるのか,学習の支援者にそれを使いこなす能力と環境が整っているのかなどを見極めなければ,実践での効果は得られないであろう.エビデンスに基づく医療の個別適用の過程と同じことが言える.

 このようななかで,個々の学習者や指導者の努力や工夫とは別に,専門職集団としてよりよい臨床実習教育を保証するための役割について考えてみたい.なお,本小論の内容は組織としての見解ではなく,あるべき姿を展望する提言としてご理解いただきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?