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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻7号

2014年07月発行

文献概要

講座 子供の理学療法・3

若年性特発性関節炎

著者: 根本明宜1

所属機関: 1横浜市立大学附属病院医療情報部/リハビリテーション科

ページ範囲:P.651 - P.657

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はじめに

 若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)はこの20年で治療が大きく進歩した疾患である.1990年代のメソトレキセート(MTX),2000年代の生物学的製剤の導入と,炎症コントロールの改善により,関節変形を残さずに治癒する患児も増えている.リハビリテーション科を受診するJIAの患児は少なくなっており,特に新たな全身型の患児は見かけなくなっている.リハビリテーションの方針も慢性期に残ってしまった障害に対するリハビリテーションから急性期に障害を残さないためのリハビリテーションへと変化してきた.

 小児リハビリテーションの対象では脳性麻痺が大部分を占め,他の疾患は比較的少なく,多くの療法士にとって治療する機会がないと思われる.JIAは数としては決して多くないが,頻度としては脳性麻痺に次ぐ疾患群である.しかし,診たことがないから診られませんということでは,患児にとっては治療機会の喪失であり,専門医のいる遠方の病院への通院は,患児や保護者にとって大きな負担である.

 本稿では,子供のリハビリテーションで決して少なくないJIAについて概説し,そのなかで子供のリハビリテーションを組み立てる考え方,疾患治療の変遷への対応なども述べてゆく.

参考文献

1)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課:平成18年身体障害児・者実態調査,p8,2008 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/shintai/06/dl/01_0001.pdf(2014年5月15日閲覧)
2)武井修治,他:[分担研究課題]小児慢性特定疾患治療研究事業を利活用した小児慢性疾患に関するデータベース作成とそれ以外の登録システムの統合に関する研究―Capture-recapture法による若年性関節リウマチJRAの疾患頻度の推定.平成19年度厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)分担研究報告書,2008
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7)横田俊平,他;日本小児リウマチ学会:若年性特発性関節炎初期診療の手引き(2007年).日小児会誌111:1103-1112,2007
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9)横田俊平,他:小児慢性関節炎.小児科40:878-884,1999
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11)稲毛康司:小児(期)発症と成人(期)発症の違い(身体編)―小児慢性関節炎JRA(JIA)を例にして.治療85:2493-2499,2003
12)石垣成子(あすなろ会事務局):若年性特発性関節炎の子どもを持つ親の会『あすなろ会』の活動.最新医学62:1083-1088,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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