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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻8号

2014年08月発行

文献概要

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

ピグマリオン効果

著者: 只石朋仁1

所属機関: 1札幌西円山病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.737 - P.737

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 ピグマリオン効果(Pygmalion effect)とは,教師の期待によって学習者の成績が向上するという,教育心理学上の行動をいう.自分が彫った女性の像に恋をし,妻にしたいという宿願がかなえられたギリシャ神話のピグマリオン王にその名が由来する.逆に,教師が期待しないことによって学習者の成績が下がることをゴーレム効果(Golem effect)という.

 アメリカの教育心理学者Robert Rosenthalは,小学生を対象に知能テストを実施し,将来能力が伸びる可能性がある児童名を教師へ伝えた.しかし,この知能テスト自体は能力向上が期待できる児童を見極めるものではなく,指名された児童はランダムに選ばれていた.半年後の知能テストで「伸びるとされた児童」で成績が向上していた.このことから,教師が期待することが児童の学習への意欲を高め,成績を向上させたと結論した.期待に基づく教師の行動が児童の学習意欲に影響を及ぼし,成績に影響したと考えられている.教師が児童に対し期待を込めて熱心にかかわることが両者の信頼関係を育み,児童は期待に応えようと意欲を高め,教師は期待通りの結果に近づくよう,力強く児童を導く行動をとる.この相互作用がピグマリオン効果の本質と思われる.

参考文献

1)外山美樹:行動を起こし,持続する力―モチベーションの心理学,pp110-115,新曜社,2011
2)中澤 潤(編):よくわかる教育心理学,pp140-141,ミネルヴァ書房,2008
3)肥田野直(編):教育心理学の展開,pp142-143,pp213-214,北樹出版,1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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