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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻8号

2014年08月発行

文献概要

臨床実習サブノート 臨床実習における私の工夫・5

人工股関節全置換術後症例の評価から治療へ―泥沼から脱出するために,私ならこうする

著者: 藤井保貴1

所属機関: 1阪本病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.764 - P.772

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はじめに

 前回,人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)後の評価について私なりの考え方を述べたが,少しは役に立っただろうか? 今回はTHA術後の治療について述べていくが,当然のことながら変形性股関節症患者にとってTHAは最後の頼みの綱である.近年は機能的な機種に加え,手術も低侵襲となりTHA術後の成績は比較的良好で,経過が良ければ術後6~8週で退院となる.その際の歩行はおおよそT型杖歩行であるが,自宅内での移動や家事の際には徐々に杖なし歩行となることが多い.それは,理学療法によって能力が向上してきたこともあるが,生活に慣れてきたことによる油断によるものでもある.またTHAを受けるのは女性が多いことから,家事をはじめ両手を使いながらの活動が多いため,杖なし歩行の獲得が必要になってくる.転倒や脱臼といった二次的な障害を予防しつつ生活の質を向上させていくためにも,股関節機能のしっかりとした再獲得と,姿勢や動作バランスを含めた全身的な能力の向上をめざしていくべきである.前回,評価の際には「木を見て森を見ず」の表現を使ったが,治療の際には「木を育て,森を育てる」という視点で,股関節自体の治療と股関節外からの治療を併せて述べていく.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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