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文献概要
特集 脳卒中片麻痺患者の体性感覚障害と理学療法
感覚機能の解剖と生理
著者: 渡辺雅彦1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科解剖学講座
ページ範囲:P.801 - P.808
文献購入ページに移動神経系の3つの機能システム
神経系をマクロ的に眺めると,次の三つの機能システムとして捉えることができる(図1)1).
・受容器からの感覚性入力情報の伝達(感覚系)
・神経情報の処理と統合による神経機能発現(統合系)
・効果器への運動性出力情報の伝達(運動系)
動物界で生き残るためには,外界を正確にセンスする感覚能力や,外界に対して的確に働きかける運動能力が不可欠である.しかし,この基本的能力だけでは単純な反射行動しかできない.個体が生存し種が保存されるためには,状況や目的に応じたより適切な行動の選択と実行,経験によるスキルの上達,コミュニケーションを介した集団による分業と協同などの能力が必要となる.このため,動物の進化に伴い,感覚系と運動系のインターフェースである統合系が次第に発達し,特に認知機能の担い手である大脳皮質が拡大していった.その結果,ヒトでは大脳の占める比率は85%にまで達し,単なる感覚運動能力では他の動物種に劣るヒトが,動物界の最上位に君臨することができた.
神経系をマクロ的に眺めると,次の三つの機能システムとして捉えることができる(図1)1).
・受容器からの感覚性入力情報の伝達(感覚系)
・神経情報の処理と統合による神経機能発現(統合系)
・効果器への運動性出力情報の伝達(運動系)
動物界で生き残るためには,外界を正確にセンスする感覚能力や,外界に対して的確に働きかける運動能力が不可欠である.しかし,この基本的能力だけでは単純な反射行動しかできない.個体が生存し種が保存されるためには,状況や目的に応じたより適切な行動の選択と実行,経験によるスキルの上達,コミュニケーションを介した集団による分業と協同などの能力が必要となる.このため,動物の進化に伴い,感覚系と運動系のインターフェースである統合系が次第に発達し,特に認知機能の担い手である大脳皮質が拡大していった.その結果,ヒトでは大脳の占める比率は85%にまで達し,単なる感覚運動能力では他の動物種に劣るヒトが,動物界の最上位に君臨することができた.
参考文献
1)渡辺雅彦:みる見るわかる脳・神経科学入門講座 改訂版 前編―はじめて学ぶ,脳の構成細胞と情報伝達の基盤,羊土社,2008
edition, p433, 2000
1)井上芳郎,渡辺雅彦(著):神経解剖学テキスト,第3版,北海道大学医学部テキスト,2014
2)井出千束(監訳):臨床神経解剖学,原著第6版,医歯薬出版,2013
3)小澤瀞司,他(総編集),本間研一,他(編):標準生理学,第7版,医学書院,2009
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