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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻9号

2014年09月発行

文献概要

特集 脳卒中片麻痺患者の体性感覚障害と理学療法

感覚機能の解剖と生理

著者: 渡辺雅彦1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科解剖学講座

ページ範囲:P.801 - P.808

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神経系の3つの機能システム

 神経系をマクロ的に眺めると,次の三つの機能システムとして捉えることができる(図1)1)

・受容器からの感覚性入力情報の伝達(感覚系)

・神経情報の処理と統合による神経機能発現(統合系)

・効果器への運動性出力情報の伝達(運動系)

 動物界で生き残るためには,外界を正確にセンスする感覚能力や,外界に対して的確に働きかける運動能力が不可欠である.しかし,この基本的能力だけでは単純な反射行動しかできない.個体が生存し種が保存されるためには,状況や目的に応じたより適切な行動の選択と実行,経験によるスキルの上達,コミュニケーションを介した集団による分業と協同などの能力が必要となる.このため,動物の進化に伴い,感覚系と運動系のインターフェースである統合系が次第に発達し,特に認知機能の担い手である大脳皮質が拡大していった.その結果,ヒトでは大脳の占める比率は85%にまで達し,単なる感覚運動能力では他の動物種に劣るヒトが,動物界の最上位に君臨することができた.

参考文献

1)渡辺雅彦:みる見るわかる脳・神経科学入門講座 改訂版 前編―はじめて学ぶ,脳の構成細胞と情報伝達の基盤,羊土社,2008
edition, p433, 2000
1)井上芳郎,渡辺雅彦(著):神経解剖学テキスト,第3版,北海道大学医学部テキスト,2014
2)井出千束(監訳):臨床神経解剖学,原著第6版,医歯薬出版,2013
3)小澤瀞司,他(総編集),本間研一,他(編):標準生理学,第7版,医学書院,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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