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特集 脳卒中片麻痺患者の体性感覚障害と理学療法
感覚障害に対する下肢への運動療法
著者: 沖田学1
所属機関: 1愛宕病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.825 - P.833
文献購入ページに移動はじめに
リハビリテーション家は感覚の捉え方を思慮しなければならない.その考え方の前提となるのは,感覚を刺激ではなく「情報」として捉えるということである.なぜならば,脳による身体や行為の改善は,刺激から反応を起こすのではなく,感覚を情報として学習するからである.
運動療法は何らかの運動を用いて運動障害の治療や姿勢の矯正を行おうとする治療法である1).特に脳卒中の後遺症による感覚運動麻痺に対する運動療法は,運動学習により機能回復をめざす特異的な治療方略である.
感覚受容器からの求心性入力は脳内ではfeedback情報となる.感覚をfeedback情報として捉えると,意識的な顕在的学習から無意識的な潜在的学習へ運動学習を進めていくための運動療法の意義が明確になる.例えば,車の運転のときにアクセルとブレーキのペダルを踏み込む力加減は,教習所で習うときには意識して調節しているが慣れてくると意識しなくても操作できるようになる.ペダルを踏み込む力と車の制御結果から,脳はペダルワークを学習する.「これぐらいかなぁ?(アクセルを踏む)=予測」「あ!スピードが出過ぎた=結果」「じゃ,これくらいか(アクセルを緩ませる)=運動修正」….
脳損傷患者には運動学習が円滑に進まない病態がある.脳病変による身体障害は,物理的な身体(筋力や可動域)という効果器の障害ではなく,脳機能の障害による身体障害であることを忘れてはならない.つまり,治療対象は運動や動作だけではない.後遺症から身体能力を改善できる脳機能である.学習できる身体が備わっているからこそ,障害から改善することができる.この学習できる身体とは,感覚情報から学習できる脳機能システムを保持していることが重要となる.
すなわち,運動学習を治療方略としているわれわれリハビリテーション家は感覚を情報として捉え,その特異性から治療戦略を考えなければならない.本稿では感覚情報の有用性の観点から感覚障害に対する下肢の運動療法を論じていく.
リハビリテーション家は感覚の捉え方を思慮しなければならない.その考え方の前提となるのは,感覚を刺激ではなく「情報」として捉えるということである.なぜならば,脳による身体や行為の改善は,刺激から反応を起こすのではなく,感覚を情報として学習するからである.
運動療法は何らかの運動を用いて運動障害の治療や姿勢の矯正を行おうとする治療法である1).特に脳卒中の後遺症による感覚運動麻痺に対する運動療法は,運動学習により機能回復をめざす特異的な治療方略である.
感覚受容器からの求心性入力は脳内ではfeedback情報となる.感覚をfeedback情報として捉えると,意識的な顕在的学習から無意識的な潜在的学習へ運動学習を進めていくための運動療法の意義が明確になる.例えば,車の運転のときにアクセルとブレーキのペダルを踏み込む力加減は,教習所で習うときには意識して調節しているが慣れてくると意識しなくても操作できるようになる.ペダルを踏み込む力と車の制御結果から,脳はペダルワークを学習する.「これぐらいかなぁ?(アクセルを踏む)=予測」「あ!スピードが出過ぎた=結果」「じゃ,これくらいか(アクセルを緩ませる)=運動修正」….
脳損傷患者には運動学習が円滑に進まない病態がある.脳病変による身体障害は,物理的な身体(筋力や可動域)という効果器の障害ではなく,脳機能の障害による身体障害であることを忘れてはならない.つまり,治療対象は運動や動作だけではない.後遺症から身体能力を改善できる脳機能である.学習できる身体が備わっているからこそ,障害から改善することができる.この学習できる身体とは,感覚情報から学習できる脳機能システムを保持していることが重要となる.
すなわち,運動学習を治療方略としているわれわれリハビリテーション家は感覚を情報として捉え,その特異性から治療戦略を考えなければならない.本稿では感覚情報の有用性の観点から感覚障害に対する下肢の運動療法を論じていく.
参考文献
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