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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル48巻9号

2014年09月発行

文献概要

報告

褥瘡の通常治療・ケアと経皮的電気刺激療法の併用が創部面積に及ぼす効果

著者: 岩元英輔1 大田伸枝1

所属機関: 1三州会大勝病院リハビリテーション部物理療法室

ページ範囲:P.894 - P.899

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要旨:褥瘡に対する電気刺激療法は,欧米を中心に多く報告され,その妥当性と信頼性が検証されている.しかし,欧米と日本とでは褥瘡発生様式が異なるため,日本人での検討が必要である.そこで今回,経皮的電気刺激療法(transcutaneous electrical nerve stimulation:TENS)を褥瘡治療・ケアに併用した効果について創部面積を指標に検討した.対象は77例の褥瘡患者を通常治療・ケアを行う対照群(n=43)と通常治療・ケアにTENSを併用したTENS群(n=34)に無作為に割付けた.評価は,面積解析ソフトによる褥瘡の欠損部ないし潰瘍部の面積を開始時から8週後まで行った.その結果,開始時から5週後までは2群間に有意差は認めなかったが,6週後以降において対照群に比べTENS群に有意な低値が認められた(p<0.05).これより,TENS併用は褥瘡の創部面積縮小を促進することが示唆された.

参考文献

1)日本褥瘡学会(編):褥瘡予防・管理ガイドライン,照林社,2009
2)日本褥瘡学会実態調査委員会:第2回(平成21年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告1-療養場所別褥瘡有病率,褥瘡の部位・重症度(深さ).褥瘡会誌13:625-632,2011
3)日本褥瘡学会実態調査委員会:第2回(平成21年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告2-療養場所別褥瘡有病者の特徴およびケアと局所管理.褥瘡会誌13:633-645,2011
4)宮地良樹,他(編):褥瘡治療・ケアトータルガイド,pp210-215,照林社,2009
5)Gardner SE, et al:Effect of electrical stimulation on chronic wound healing:a meta-analysis. Wound Repair Regen 7:495-503, 1999
6)Adunsky A, et al:Decubitus direct current treatment(DCCT)of pressure ulcers:results of a randomized double-blinded placebo controlled study. Arch Gerontol Geriatr 41:261-269, 2005
7)Kawasaki L, et al:The mechanisms and evidence of efficacy of electrical stimulation for healing of pressure ulcer:a systematic review. Wound Repair Regen 22:161-173, 2014
8)明井哲也,他:仙骨部の褥瘡に対して電気刺激療法が有効であった1症例.全日鍼会誌59:495-502,2009
9)岩元英輔:褥瘡に対する経皮的電気刺激療法の臨床効果.褥瘡会誌13:551-557,2011
10)岩元英輔:鍼通電刺激と経皮的電気刺激が褥瘡の皮膚温に及ぼす影響.褥瘡会誌15:99-104,2013
11)Sugimoto M, et al:Evalution of the optimon electrical stimulation intensity for galzianotaxis in human fibroblasts. Wound Repair Regen 19:A1-A7, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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