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講座 認知症Update・1【新連載】
認知症の捉え方
著者: 岩田淳1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院神経内科・科学技術振興機構「さきがけ」
ページ範囲:P.63 - P.69
文献購入ページに移動現在では広く浸透している「認知症」という単語は,dementiaの訳語として造語されたものである.それには,以前よりdementiaの訳語として使用されていた「痴呆」のもつ差別的な響きを問題視した2004年4月の厚生労働大臣に対する要望書の提出を受けて,行政用語・一般用語として2005年から使用されるようになった経緯がある.
しかしながら,一般では「認知症」という単語が正確に理解されているかというと,疑問に思うことが多いと言わざるを得ない.ICD-10にせよDSM-Ⅳにせよ,dementiaに対する正確な定義が存在し(表1),それに従って診断するわけだが,これらはきわめて文学的な基準であって,糖尿病や高血圧のように数値化された基準がないこともあり,医師のなかでも普段から認知症診療に従事していなければ「認知症」の定義を述べることができる者も少ないかもしれない.
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